哀しみのオレンジZERO 幸人

EPISODE3 恋人

 葉琉州町の外れに本社を置く大手製薬会社、株式会社モカワ。代表取締役は宮澤弘篤。最近波に乗っている企業なのだが、社長が今頭を悩ませているのはライバル企業による物理的な攻撃と、息子の洸平が会社のクレジットカードを私的利用していることだ。今回水瀬幸人に依頼された仕事はモカワの護衛。彼は共有された地図を頼りに社長と接触すると
「本日はよろしくお願いします。公安課の水瀬幸人と申します」
「社長の宮澤弘篤です」
「早速ですが、ライバル企業からの攻撃って具体的にどういったことでしょうか?」
「それが…」
 内容は外回りに出た女性社員が休憩しているとき、エスカレーターを登っているときなど、下着を盗撮される。住所を知られた女性宅には避妊具が送りつけられる。一番の被害は
「Zパワー(自社製の栄養ドリンク)からヒ素が検出されたんです…」
「ヒ素…!?」
 ヒ素は少量飲んだ程度では死に至るほど毒性は強くないものの、飲んでしまったら激しい下痢に嘔吐、神経障害などを引き起こす。既に被害は何世帯かに及んでいるという。彼もZパワーを何度か飲んでいたが運良くヒ素入りを当てなかったことか。社長本人はライバル企業、ブランストンの仕業じゃないかと睨んでいるが、しばらく調査が必要だな。
 バタンッ…!
「親父〜!悪いけど小遣…ってお前!まさかあんときのお前じゃねぇか!?名前は…確か水瀬ゆきのひとだ!」
「ゆきのひとじゃなくて幸人です…お久しぶりですね」
 宮澤はよくある名前だと思ったがまさかこんなとこで再会してしまうとは…彼にとって忘れたくても忘れられない存在。保育園から中学までの同級生だが、彼を毎日のようにイジメ、一度は死にかけたこともある。
「お前今何やってんだよ?」
「僕は高校を出て警察官やってます」
 あくまで明かすのは警察官のみ。公安であることは明かしてはならないためだ。
「サツか!?お前ちょっとばかりガタイ良くなったじゃねぇか」
 イジメられていた当時は高身長でもナヨナヨだったが、今じゃ見違えるほど筋肉に包まれている。
「たまにはバイト行け…会社の金だって無限じゃないんだぞ」
「へ〜いへい…」
 バタン…
「すいません…本当にろくでもない息子で」
「いえ…」
 言われなくてもわかっているわ…あの男のせいで僕の人生は狂わされた。彼は溢れ出る殺意を必死に抑えるしかない。せめて綺麗な制裁だけは与えてやろう…

 2002年4月。
「さあ、今日から幸人君もお友達よ」
「ママは…?」
 母が施設に預けてから既に半年以上経っている。迎えに来ると言っていたのに迎えに来てくれない。会いたいよママ…どれだけ願ってもその願いは叶わない。
「幸人君もこっち来なよ!遊ぼっ!」
「は…はい!」
 何とか周囲に馴染もうと一緒に遊んだりしたのだが、まだ自分がASDを持っていることは知らず、中々馴染むことができなかった。しかし
「よぉ人殺し!」
「ん?何言ってるの洸平君?」
「先生知らないの!幸人君のパパって人殺しなんだよ」
 突然彼のことを人殺し呼ばわりしたのは宮澤洸平。前述にある同一人物だ。何故知っているのかというと、洸平の母親は既婚者でありながらあちこちで男を漁る遊び人で、その内の一人が警察と関わりがある男だった。その伝手で幸人の父が津島かであることを知ったらしい。だが噂は恐ろしいもので、奴から浸透した噂は保育園だけでなく、何と育った施設にまで及んでしまう…
「幸人君、ちょっといいかな?」
「何で…すか…?」
 施設長を務めるのは古林拓真。身長は一般的な男性より高い。ドスの効いた声で幼い彼に問い掛ける内容は
「幸人君のお母さんは本当に悪い人だね?君のお父さんが人殺しってこと隠すなんて…」
「人殺し…って何ですか?」
「幸人君ね、ここにいるお友達みたいに生きてる人を殺しちゃうと…すっごく痛いお仕置きされちゃうんだ…」
「お仕置き…!?」
 人殺しという言葉はまだ理解できていなかったが、お仕置きという言葉はとても怖い。だって痛いことされるから…!
「君もお仕置きが必要だね…」
「嫌だ…やだやめてください…!」
「おっと動くな…よ!」
 バチンッ…!ドス…!ドス…!
 幼い幸人にとって自分の倍以上ある大人に殴られることは恐怖なんかじゃ言い表せない。助けて…ママ…!
 バタンッ…
「痛い…痛いよぉ…!」
 施設に帰れば施設長から暴力を振るわれ、保育園に行けば皆から無視されて除け者にされる。卒園して小学生になってからは学校でも暴力を受けることになる…
「おい抑えてろ!俺のドロップキックいくぞぉ!」
「やめてください…やめてください…!」
「こっちはいつでもいいぞぉー!」
「おりゃぁー!」
 ドゴン…!
「痛い…!うわぁ~ん…!うわぁ~ん…」
「う〜わこいつションベン垂らしてるぜ!」
「きったねぇなこいつ!」
 イジメの主犯格は宮澤洸平。他にイジメている同級生は牧野健太郎と鹿野光輝。毎日毎日、3人束になって彼をイジメている。この頃から彼の身体には凄まじいほどのミミズ腫れができ、当然プールの授業は全て欠席。彼は逆らう勇気もなく必死で我慢し続けたが、その結果最悪の事態を招くことになる。それは5年生の社会見学のときだった。
「この華理州ヒルズはこのように展望台があって夜の景色がよくみえるようになってます。今日は工事で見せれないのですが、このバルコニーからでも良い景色が眺めれますよ」
 社会見学の場所は華理州ヒルズ。最上階は展望台になっていて夜景は絶景だ。展望台でプロポーズをする人がかなり多い。彼はバルコニーから街を走る車を眺めていると
 ドンッ…!
「うわぁ!?」
 突然後ろから押された!彼は突然のことに戸惑ってそのまま3階のバルコニーから落ちてしまう!
 ボキィ…!
「うぅ…!」
 落下して右足首に全体重が掛かり、鈍い音で骨折したことがわかる。そのまま身動きが取れず…
 ピーー!!ガシャーン…!
 ドライバーの反射神経が良かったのか幸いに轢かれることはなかった。だが急ハンドルを切ったことで対向車に思い切り突っ込んでしまい、それに続いて後続車も追突してしまう。
 ピーポーピーポー!ウーウーウー!
 押した犯人は見えなかったが洸平の仕業にしか考えられない。何故なら名簿順で並んでいたためあいうえお順から水瀬→宮澤になる。幸人の後ろに洸平が並んでいた。
「僕大丈夫か!?マズい足を骨折してる…」
「運転手の方もヤバい!」
 ドライバーは対向車に衝突した際にエアバッグは作動したのだが、衝撃の方が上回って額がハンドルに直撃。頭から血を流している…幸い大事には至らなかったが交通事故による被害額は計り知れない…施設長に訴えても
「お前が勝手に落ちただけだろ!」
 と相手にしてくれなかった。松葉杖をついたまま学校へ行くと
「おい昨日は流石にやりすぎだぜ?」
「あいつギリギリのとこで轢かれなかったな」
「あのまま轢かれて死んだら早い話だったのになぁ」
「流石に言いすぎだぜぇ〜」
「ハハハハ!」
 やっぱり押したのは宮澤洸平だ。もし僕が本当に轢かれて死んでいたら小学生でも罪に問われることを知らないのか?骨折が治り、中学生になっても彼に居場所などなかった。それでも彼は誓った。絶対ママと再会するんだと…
「はぁ~…」
 ポリポリ…
 僕は何のために生きているんだ?施設に帰ったって心が落ち着くはずもない。志望校の葉琉州エルム高校には授業料全額免除の特待生制度がある。そこに必ず合格してそしたらこの施設を出よう…!彼の決意は固まっていた。
「ママ…!?」
 下校中、彼の母が前を歩いている。あの髪型に色、それにあのシルエット…間違えるはずがない。彼は我を忘れて走り出す!
「ママ!」
 おそらくこれが彼の中で最も周りが見えなくなった瞬間だろう。全力疾走して追い付くが
「ん…?どうしたの?」
「えっ…」
 結果母親そっくりの別人だった。
「どうしたんだ恵?」
「あなた、何かこの子お母さんとはぐれちゃったみたいなの。お姉さんが一緒に探してあげよっか?」
 とても親切な言葉だが今の彼にとって心を抉る言葉でしかない。彼は意図せず涙が溢れてしまい…
「うぅ…」
「どうしたの?」
「大丈夫です…何でもありません…!」
「ちょ…ちょっと君…!?」
 彼は歩きながらずっと泣いていた。世の中には自分より不幸な子だっているが、今僕に降り掛かっている現実はあまりにも酷すぎる。
「何で…ずっとママに会えないの…どうして僕のことを皆わかってくれないの…うぅ…」

 バリーン!
「うぅ…!クソ…!」
 あれから6年…彼は記憶を掘り起こすと自分のことすら嫌になって洗面所の鏡を割ってしまう。僅か6年で再会するとは世間が狭すぎだ…6年とあるが彼はあの後葉琉州エルム高校に特待生で合格し、高校入学と共に施設を出て一人暮らしを始め、生活費はピザ屋でアルバイトしたお金で何とか賄った。葉琉州エルム高校は都内でも偏差値が高い高校だが彼は勉強がかなり得意だったため、特待生試験に一発合格。言うまでもないが洸平は受かるはずもなく他イジメっ子2人も別の高校に進学。ようやくの心機一転だった。そんな彼の当時の悩みは、将来の夢が決まっていないことと、同じクラスに好きな人がいることだった…彼の恋愛事情はどのようなものだったのだろうか?

 2014年7月。葉琉州エルム高校は私立高校のため制服で登校する。7月は衣替えで夏服。彼は高校進学と共に髪形を決めるようになり、トレンドなどを勉強してプライベートでもキメるようになった。そこまで熱心になる理由は好きな人がいるからだ。
「おはようございます…」
「おっ…水瀬君おはよう!」
 そんな彼の好きな人は速水佑香。ロングヘアが似合っててとにかく可愛い…彼は初めて女性を抱いてみたいと思っていた。高校生は思春期真っ只中だ。男子女子共に恋愛事情に悩む。女子生徒の間ではこんな話が…
「ねぇ2年生の真藤先輩マジ格好良くない!?」
「晴夏の好きな人って誰だっけ?」
「私は3組の石野君!」
 お互いの好きな人の話で盛り上がるガールズトーク。
「でもうちのクラス(2組)ってイケメンいなくない?」
「いやそんなことないでしょ?」
「誰?」
 晴夏という生徒が目配せした先は…
「あぁ~水瀬幸人君?」
「そう!話したことないけどあの人メッチャ格好良くない?」
 幸人は人付き合いが苦手で確かに喋っている場面をほとんど見たことがない。いつも一人で何か本を読んでいるだけ。特に部活動もやっていないため目立つような存在ではないが、下手したら学年1のイケメンかもしれない…
「佑香は好きな人いる?」
「私?私は特に…いないかな」
 そう言っているが幸人が自分に好意を寄せていることを薄々感じていた。彼は不器用で他の女子には話し掛けないくせに、自分には照れながら話し掛けているから。まだ両想いとは言えないが彼女の方も水瀬君なら良いかもと考えている。
「それじゃ皆さようなら!」
「さようなら!」
 彼は学校が終わったらすぐピザ屋のアルバイトに向かう。当時原付の免許を持っていないため配達業務は自転車。だがバイト先のピザ屋、アクアピッツァは店内でも食べられるようレストラン形式になっている。
「おはようございます!」
「おはよう!水瀬君、着替えたら先に配達お願いしていいか?」
「わかりました!すぐ行きます!」
 勉強とアルバイトの両立は多忙。高校生で一人暮らしはやはり大変だ。それでも地獄の施設から逃れられただけ結果は良かった。それに今は好きな人がいる。この恋が叶ったら僕の人生初の薔薇色!そんなことを考えながら
「いらっしゃいませ!」
 今日も頑張る。

 数日後。彼は勇気を出して放課後の屋上に佑香を呼び出した。
「どうしたの?」
「佑香さん…」
「何か水瀬君と話すの初めての感じね?」
 彼はベンチから立つと彼女に向き合う。こんなに真剣な表情は見たことがない。佑香さんって本当可愛い…彼は猪突猛進スタイルで
「僕、同じクラスになったときから佑香さんのことが好きです!僕で良かったらお付き合いしてください!お願いします!」
 彼は告白とは思えないくらいの角度で頭を下げる。
「ちょ…ちょっと頭下げすぎでしょ!?水瀬君?」
 我に返って頭を上げる。
「私はわかってたよ…やっぱ私のこと好きだったんだね?」
「大好きです…!」
「水瀬君の気持ちはわかったわ…」
「えっ…なら…」
 彼女が出した答えは?
「いいよ…私も水瀬君のこと好きだよ…」
「本当ですか!?」
 チュ…!
「これで好きってわかったでしょ?」
 何とキスを最初に仕掛けたのは彼女。彼も我慢できなくなり
 チュ…!チュ…!
「息できないよ…でもありがとう…私のこと好きでいてくれて」
「愛してます…佑香さん…」

 そしてまた数日後の日曜日。この日はアルバイトが休みで初の私服デートを楽しんでいた。
「手繋ごう?」
「はい」
 何だろう。この恋人繋ぎする幸せ。まだ高校生のためお金に余裕がなくても楽しめる。レストランでランチを終えたそんなとき
「幸人一人暮らしだっけ?」
「そうです」
「聞いちゃ悪いけど、壁薄い?」
「確かに薄いです…大声だとお隣にも聞こえますね…」
「じゃあ私の家来な?今日はパパもママも仕事でいないんだ。あとお兄ちゃんも友達と出掛けてるし」
「佑香さんの家ですか?でも…」
「細かいことはいいから!」
 半ば強引に手を引っ張られて佑香の住む家へ。普通の一軒家だ。
「お邪魔します…」
 家の中には飼っているトイプードル(♂)がいる。彼のことは警戒していないのか吠えない。彼女の部屋は2階にあるようだ。女の子らしいアロマキャンドルの匂いがする。
「ねぇ…服脱いで…!」
「えっ…!?」
「服脱いで…!何回も言わせないで」
 ダメだ…服なんて脱げるわけない。こんなミミズ腫れ見られたくない!
「お願いだから…じゃあ私が先に脱ぐから!」
「ちょっと佑香さん…!?」
 バサッ…
「…!?」
 初めて女性、いや高校生の初々しい全裸を見る。こんなのを見て勃たないわけがない。
「あっ…」
「もう勃ってんじゃん?なら脱ぐしかないわよ?」
 彼は恐る恐る服を脱ぐ。傷を隠すアームカバーや腕時計、服に下着に至るまで全て脱ぐと
「!?うぅん…」
 上半身のミミズ腫れは真っ赤に残っていて見る者に恐怖を与えてしまう。だから脱ぎたくなかった…きっと嫌われる!だが
 ペロペロ…
「うっ…!」
「ハハハ…傷痕はやっぱり敏感?だったら舐めて治してあげるから…頂戴…?」
 ジュボ…ジュボ…
「うっ…佑香さん…あっ…!」
 彼もだが彼女にとっても初Hだ。
「佑香さん…出ます…!うっ…!」
「んん〜…!」
 ジュボ…ピュルピュル…
「すっごい出た…苦い…」
「すいません…!いきなり出してしまって!」
「いいの…でも幸人の大っきいから欲しくなっちゃった…」
 まさか!?佑香さんはかなり踏み込むタイプだったのか?
「今日のために買っておいたの」
 彼女が取り出したのはコンドーム。てか使い方がわからない…
「どうやって付けるんですか?」
「えっ?わからないのね…まず勃たなきゃ付けられないから」
 彼女は手で触って勃起を誘発させ、そのままネットで調べながら彼にコンドームを付けた。
「挿れてみな…絶対気持ち良いよ?」
 突然のことで勃起が弱まってしまいそうだ。だがコンドームは今付けている分しかない。挿れるなら今しかない…
 ズボッ…
「痛い…!?」
「すいません…!?」
「抜かないで!続けて…」
「わかりました…」
 初々しい膣口はかなり狭い。気持ち良さと痛みが同時に来る。彼はゆっくりと動かし続け…
「イク…!」
「あぁ~…!」
「はぁ…はぁ…!」
 コンドームには溢れ出しそうな量の精液が。彼は16歳で初Hを経験した。
「まだ時間あるからさ…お昼寝でもしよ?」
「そうですね…佑香さん、気持ち良かったです」
「私も気持ち良かったわ…」
 この日は真夏日だったため全裸のまま2人は昼寝をした。母親と離ればなれになってから初めて手に取った幸せな瞬間。速水佑香の存在は彼の人生を大きく変えることになったのだ。

 そのまま交際は続いて3年生になり、幸人と佑香は進路について話し合っていた。彼女は福祉関係の大学を志しているようだ。そんな彼は
「何?進学か就職もまだ決めてないの?」
「はい…」
「そろそろ決めた方がいいわよ?」
「ですよね…」
 彼は企業が出している求人票を見ている。どちらかと言えば卒業したら働きたいと考えている。進学なら授業料免除を探せばいいが、もう一人暮らししながら学校に通えるほど経済的や余裕は生まれないだろう。やっぱり就職しようかな。
「幸人、警察官はどうなの?」
「警察官ですか?」
「幸人強いし責任感あるしさ」
 去年歩いているところを絡んできたヤンキーを軽く撃破(哀しみのオレンジ本編)したのを見たことがあって彼の強さを知っている。強さの理由は幼少期から受けた暴力を毎日見るうちに、技や喧嘩の技術を覚えていた。
「それに頭良いしさ、地方じゃなくて国家公務員試験でも受けてみたらどう?」
 確かに興味ないわけではない。警察官になれれば自分自身も強くなれる。その日を機に彼は国家公務員試験対策の勉強を始めた。

 2017年3月。迎えた葉琉州エルム高校の卒業式。
「卒業おめでとう!」
「おめでとうございます!」
 佑香は無事大学に合格し、来月からは親元を離れて一人暮らしをする。一方彼も無事国家公務員試験に合格し、来月から警察庁での勤務が約束されている。
「しばらく離ればなれになっちゃうけど、離れていても私たちは一緒だよ」
「佑香さん…本当にありがとうございます。佑香さんのおかげで、僕に生きる希望ができました」
「私は幸人を愛しただけで何もしてないわよ。でもそう思ってくれるなんて光栄よ!」
 チュ…チュ…
 卒業式が終わると、2人は最後の熱いキスを交わしてそれぞれの道を歩むことになった。その後彼女がどんな人生を歩んだのか現時点では明かされていないが、幸せに生きていることだけは確かだ。卒業後、EPISODE2でもあった通りのキャリアを積み、そして今公安に所属して生きている。

 佑香とのツーショット写真を眺めながら
「会いたい人が多すぎるな…」
 母さんに佑香さん、今願いが叶うならこの2人に会いたい。卒業してもう3年近く経つのか…だが佑香に会うことはできない。自分は公安でありながら何人も殺した殺人鬼であるから…それに下手したらもう一人殺してしまうかもしれない。殺意と闘争心を抑えろ…僕はそのために警察官になったようなものだ。彼はそんなことを考えながらビールの缶を空けてゴクリ。そのまま横になって一旦眠ったのだった…
< 4 / 5 >

この作品をシェア

pagetop