フィオナの運命
生命の巫女
「ルシアス様」

側近のユーリに声をかけられて、執務室のデスクに向かっていたルシアスは顔を上げる。

「どうした?」
「国王陛下がお呼びでいらっしゃいます。シャーマンの末裔である『生命の巫女』が見つかったと」
「なに!?」

ガタッとルシアスは椅子から立ち上がった。

「それはまことか? ユーリ」
「はい。バギラ様のお告げを受け、村を捜索したところ、確かにそれらしき娘がいたとのことで王宮に連れて来られたそうです。ですが肝心の娘は、なんのことやら分からないの一点張りだそうで……」
「すぐに行く。謁見の間か?」
「はい」

ルシアスは大きな歩幅で部屋を横切り、ユーリが開けた扉から出る。

二人で謁見の間へと向かいながら、ルシアスは一歩後ろを歩くユーリに尋ねた。

「それで、どんな娘なのだ? 『生命の巫女』とは」
「ごく普通の17歳の村娘だそうです。両親は既に他界し、寝たきりの祖母と牧場で二人暮らし。他の村人から話を聞いても、シャーマンの末裔だということは、誰にも知られていなかったとのこと」
「その娘が本当にシャーマンの末裔だという証拠は?」
「ありません。全てはバギラ様のお言葉によるものです」

そうか、とルシアスは声のトーンを落とす。

ようやく希望の光が見えたかと思ったが、期待しない方がいいようだと己に言い聞かせた。
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