雨の日が苦手だった、私たちは
いなくても大丈夫、じゃなかった
オフィスを出て、空を見上げると曇天が広がっていた。今日の予報は、曇りのち雨だ。
「朝比奈さん、大丈夫ですか?」
「あ、うん。この後雨が降りそうだなって。若井くん、傘持ってる?」
「あー……今日は忘れたかもしれないです。後でコンビニで買おうかな……」
「そっか、私は折り畳み傘を一本持ってるんだけど。総務に貸出用の傘があるはずだから、急いで持ってくるね」
「うわ、すみません……そうしたら、俺はタクシー捕まえちゃいますね」
萌衣は急いで総務部に向かう。
「失礼します」と声をかけてドアを開けると、その先にいた西と目があった。
「あれ〜、朝比奈さん。どうしたの?」
「すみません、これから外出するので傘を借りようと思いまして」
「あぁ、今日雨なんだ。はい、貸し出しどうぞ。一応名前は書いておいてねー」
「はい、すみません」
相変わらず、西と対面すると胸の奥がきゅっと引き締まる。
萌衣はすぐさま、渡された台帳に名前を記入した。特に何もなくほっと胸を撫で下ろした、その時だった。
「あ、朝比奈さーん! これなんだけど、やり方覚えてる?」
ふいに手元に押し付けられた台帳に、目を白黒させてしまう。
「その締め作業、今月中なんだけど、ちょーっと時間がかかっちゃいそうで。手伝ってもらえると、助かるんだよね」
どうやって断ろう、と咄嗟に考える。
前だったら渋々受け取ってしまっていたけれど、今は断る前提で考えていた。
何より、外で若井を待たせているのだ。
これから外出すると言っているのに、仕事を押し付けるなんて。
「……できません」
「えぇ?」
西の圧を含んだ言い方に、一瞬怯みそうになった。
でも、萌衣はぐっと足に力を入れて自分を奮い立たせた。
「もう総務部ではないので、この業務はできません。それに、今から外出するところなので、これも持っていけません。それでは、失礼します」
「え、ちょっ……!」
「朝比奈さん、大丈夫ですか?」
「あ、うん。この後雨が降りそうだなって。若井くん、傘持ってる?」
「あー……今日は忘れたかもしれないです。後でコンビニで買おうかな……」
「そっか、私は折り畳み傘を一本持ってるんだけど。総務に貸出用の傘があるはずだから、急いで持ってくるね」
「うわ、すみません……そうしたら、俺はタクシー捕まえちゃいますね」
萌衣は急いで総務部に向かう。
「失礼します」と声をかけてドアを開けると、その先にいた西と目があった。
「あれ〜、朝比奈さん。どうしたの?」
「すみません、これから外出するので傘を借りようと思いまして」
「あぁ、今日雨なんだ。はい、貸し出しどうぞ。一応名前は書いておいてねー」
「はい、すみません」
相変わらず、西と対面すると胸の奥がきゅっと引き締まる。
萌衣はすぐさま、渡された台帳に名前を記入した。特に何もなくほっと胸を撫で下ろした、その時だった。
「あ、朝比奈さーん! これなんだけど、やり方覚えてる?」
ふいに手元に押し付けられた台帳に、目を白黒させてしまう。
「その締め作業、今月中なんだけど、ちょーっと時間がかかっちゃいそうで。手伝ってもらえると、助かるんだよね」
どうやって断ろう、と咄嗟に考える。
前だったら渋々受け取ってしまっていたけれど、今は断る前提で考えていた。
何より、外で若井を待たせているのだ。
これから外出すると言っているのに、仕事を押し付けるなんて。
「……できません」
「えぇ?」
西の圧を含んだ言い方に、一瞬怯みそうになった。
でも、萌衣はぐっと足に力を入れて自分を奮い立たせた。
「もう総務部ではないので、この業務はできません。それに、今から外出するところなので、これも持っていけません。それでは、失礼します」
「え、ちょっ……!」