雨の日が苦手だった、私たちは
『お前たち、お似合いだな』
(高瀬さんに言われると、やっぱりショックだなぁ……)
はぁ、と小さくため息をつくと、若井がこちらを覗き込んだ。先ほど高瀬のことを心配していた時と、同じ顔をこちらに向けられる。
「朝比奈さん、大丈夫ですか? もしかして、朝比奈さんも体調が悪いですか?」
「あっ……ごめん、私は全然大丈夫! ごめん、高瀬さんの仕事を最近手伝えてなかったなぁと思って反省してた」
「朝比奈さんが反省する必要はないですよ。むしろ、俺がもう少ししっかりしないとダメですね。
できる限り、自分の力で頑張るので、朝比奈さんは俺のことを遠くから見守っててください。あ、デスクは隣なんですけど」
「ふふっ……それは分かってるよ。確かに、私も若井くんにつきっきりだったから、成長の機会を奪っちゃったよね」
「いえ、そんなことないです! それじゃあ、仕事に戻りましょう!」
若井はきゅっと拳を握って、気合いを入れ直していた。それにつられて、萌衣も気を引き締めて自分のデスクへと戻っていった。
***
「朝比奈ちゃん、準備できたー?」
「あ、安藤さん。はい、これを片付けて、すぐ行きます」
安藤に声をかけられ、萌衣は目の前の書類を急いで片付け始める。
二人のやりとりが聞こえたのか、別のデスクの島にいた柳と石原も立ち上がった。そう、今日は四人で飲みに行く約束をしていたのだ。
それを知らない高瀬に、萌衣は声をかけられた。ちなみに、若井は一人で外回りに行っていてここにはいない。
「朝比奈、今日は何かあるのか?」
「はい、安藤さんと柳さんと、石原さんの四人で飲みに行く約束をしてて。……高瀬さんも、行きます?」
どうせ断られると分かっている。
最近は距離を取られているのだから。それでも、声をかけておきたかった。
「いや、俺は仕事も残ってるから良い。みんなで楽しんでな」