雨の日が苦手だった、私たちは


「そこまでは。いつも二、三杯しか飲まないです」


 萌衣もジョッキに口をつけ、こくりとひと口流し込んだ。周りを見ると、柳も似たようなペースだった。


「柳さんは、お酒結構飲む方ですか?」
「いえ、私もそこまでは」
「柳ちゃんは飲み会の幹事を押し付けられるばっかりで、本人はあんまり飲まないのよね〜」
「いつも押し付けてくる安藤さんがそれを言いますか」
「あはは、だって、柳ちゃんそういうの完璧なんだもん」


 へにゃと力が抜けたように笑う安藤は、もう酔い始めているらしい。
 豪快な飲みっぷりだけれど、あまりお酒に強くはないのかもしれない。安藤の様子を見た柳は、はぁとわざとらしくため息をついた。


「もう、安藤さんもほどほどにしてくださいよ? また私と石原さんで担いで連れて帰る羽目になりそうなので」
「はいはーい、気をつけまーす! さてさて、今日はさ、朝比奈ちゃんの最近の仕事について聞こうと思ってたからさ〜。あ、そのたこわさ食べる〜」
「はいっ、どうぞ」


 萌衣の近くにあったたこわさの小鉢を、安藤の前に差し出した。大きなお皿に載った塩キャベツも、萌衣は取り分けていく。


「朝比奈ちゃん、取り分けもありがとう。でも、そんなに気を遣わなくて良いからね? みんな、好きなものを好きな時に自分で取るスタイルにしましょ」
「あ……すみません、つい癖で」
「うんうん、朝比奈ちゃんはそういうタイプだよね。まぁ、私たちの間では、そういう気遣いはしなくて良いってことを伝えたくて。ねっ、石原くん?」
「あっ、はい、すみません。塩キャベツ、食べ始めてました」


 慌てたように箸を止める石原に、安藤も柳も「あはは」と笑っている。萌衣もつられて笑ってしまった。
 安藤はたこわさを頬張り、またビールを煽った。


「で、朝比奈ちゃん、最近はどう? あ、体調はもう大丈夫なの?」
「そうですよ、朝比奈さん。以前ふらついてましたよね。大丈夫なんですか?」
「それはもう大丈夫です! その節はご迷惑をおかけしました……」
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