雨の日が苦手だった、私たちは
今週は、周りから質問攻めにあい、二人でゆっくり話す時間もなかった。
そして、やっと二人きりになれた週末。
陽とスイーツ巡りに行くため、萌衣は身支度を整えた。以前も行ったブックカフェで、新作のパフェが出たのを陽がちゃんと押さえていた。
久しぶりにブックカフェに訪れ、以前と同じように向かい合って腰を下ろす。
前回はクラシックプリンを食べた萌衣も、今日は陽と同じくパフェをオーダーした。出来上がるまでの20分間、コーヒーを飲みながらゆっくり会話を楽しんだ。
「陽さん、昇進が決まったんですよね。おめでとうございます」
「あぁ、田中課長が転職したからな。一旦課長代理で、10月の人事で課長に昇進する予定だ。だから、まだ確定したわけじゃ……」
「それでも、もう決まったようなものじゃないですか。最年少課長、すごいです」
彼の努力が認められることは、素直に嬉しい。
きっと、これからもどんどん出世していくのだろう。お見合いを断ったとはいえ、自分の力でキャリアアップしていく彼が眩しく見えた。
コーヒーカップをソーサーに置いた音がかちゃりと聞こえ、萌衣は視線を上げた。すると、目尻を下げた陽と目が合った。
「でも、結局は誰と一緒に仕事をするか、誰と一緒にいるか、じゃないか?」
陽から、そんな言葉が出るとは思わなかった。
それに驚いて、萌衣は笑顔で「そうですね」と言うくらいしか言葉が出なかった。
窓を見ると、今日は天気予報通り晴れで、雲ひとつない空が広がっている。前回ここに来た時は雨が降ってきて、この窓から外の様子を眺めたことを思い出した。
そして、陽に対する気持ちに気付き始めていたのに、その気持ちに名前をつけるのが怖くて、見て見ぬふりをしたことも思い出した。
「……陽さん。私、外がどんな天気でも、もうそわそわしない気がします」
何の脈絡もなく、そんな言葉が口をついて出た。
『あ、また変なこと言っちゃった……』と内心焦るも、陽は萌衣の言いたいことが分かったらしい。