雨の日が苦手だった、私たちは
「高瀬さん、朝比奈さん! もう出ますか? 俺と安藤さんも行けそうなので、一緒に行きます!」
そうして石原と安藤も合流し、四人で向かうことになった。今回、幹事を任された柳は、先に歓迎会会場にいるそうだ。
先頭を歩く石原についていくと、イタリアンバルに辿り着いた。
人数が多いため、店内の一部を貸切状態にしているらしい。最近異動してきた人や入社した人も含めて、20名近く集まった。
席に座ると、その隣に高瀬が腰を下ろした。
椅子を詰めて座っているせいで、いつもより距離が近い。
(高瀬さんって、何か香水使ってるのかな……いつも良い匂いがする……)
匂いに敏感な萌衣は、隣にいる高瀬に気がいっていて、後からバルに来たメンバーに気付いていなかった。
安藤から「えっ、なんで来てんの!?」と苛立つような声がして、はっとした。
「安藤さん、どうかしました?」
「朝比奈ちゃん、なんであの人……」
「朝比奈さ〜ん! お疲れ様でーす♡」
「え……西さん?」
なぜ、総務部の西がここにいるのか。
状況が理解できず、萌衣は目をぱちぱちと瞬かせた。
安藤が「ちっ」と軽く舌打ちをしたような気がしたが、西は全くお構いなしで、長い髪を弄ぶように指に絡めた。
整えられたネイルのラメが、照明に反射して輝いている。
「ほら、私、朝比奈さんの送別会に参加できなかったでしょ〜? だから、今回柳さんに頼んで参加させてもらったの!
あ、高瀬さんの隣が空いてるなら、そこに座りますね〜」
西はすぐさま、高瀬の隣を陣取った。
安藤は「……ちょっと、柳サーン」と言って、柳を探しに行ってしまった。
残された石原と萌衣は、困ったような顔を浮かべてひとまず椅子に座る。
高瀬だけは無で、何を考えているのか分からない。
その後、「朝比奈さんは主役だから〜」と、西に席を入れ替わるよう促された。奥から西、高瀬、萌衣が並んで座り、西の前に石原が座っている。
他の社員が来るまでの間、石原は西に絡まれていた。高瀬に話しかけても素っ気ない態度だからか、絡む相手を石原に切り替えたらしい。
「それでは、皆さん、お揃いでしょうか!」