雨の日が苦手だった、私たちは
萌衣の言葉を受けて、高瀬は押し黙ってしまう。
まだ納得していない様子はあれど、早速お弁当箱をぱかっと開けた。どんな反応をするのだろうと、恐る恐る高瀬の顔を見る。すると、すぐに顔が晴れていった。
それは、ほんの少しの変化。
普通だったら見逃してしまうような些細な変化も、萌衣は見逃さない。
「あの、高瀬さん……?」
「うまそう、早速食べて良い?」
「はい、もちろんです。お口に合えば良いのですが……」
「いただきます」
手を合わせて、早速、小松菜と油揚げのおひたしから食べ始めた。萌衣は自分が食べるのも忘れて、つい高瀬に見入ってしまう。
箸の使い方一つとっても、所作が綺麗なのだ。
果たして、彼の口に合ったのだろうか。
以前、社食でご飯を食べた時にも、お裾分けはしているけれど。
萌衣は様子を見守りながら、ごくりと唾を飲み込んだ。
「ん、美味い」
「……はぁー、本当に良かったです」
「次は卵焼き。朝比奈は食べないのか?」
「あ、食べます。すみません、感想が気になってしまって」
高瀬の様子を見届けたところで、萌衣も自分のお弁当箱のふたを外し、そっと箸を伸ばした。以前宣言した通り、中身は高瀬のお弁当箱と全く同じだ。
誰かに見られたら、余計な勘違いをされそうではある。
(私が作ってるって誰かにバレたら、高瀬さんに迷惑かけちゃいそうだし……気をつけないと。ちゃんと食べてくれるなら、今後は一緒に食べなくても……)
「朝比奈?」
「え……? あ、はいっ」
「どうした? 箸、止まってる」
「すみません、ちょっと考え事をしてました」
「あ、そういえば、明日の天気予報は雨だったな」
突然、高瀬はスマホを取り出し、天気予報を確認し始めた。明日は雨なら、ここで一緒にご飯を食べることはできないだろう。
自分から「今後は別々で食べましょう」なんて言わなくても、天気が自然と二人の『適度な距離』を作ってくれる。
外はこんなに晴れているというのに、萌衣の心はなんだか晴れなかった。
「明日は雨なんですね。じゃあ、屋上では、」
まだ納得していない様子はあれど、早速お弁当箱をぱかっと開けた。どんな反応をするのだろうと、恐る恐る高瀬の顔を見る。すると、すぐに顔が晴れていった。
それは、ほんの少しの変化。
普通だったら見逃してしまうような些細な変化も、萌衣は見逃さない。
「あの、高瀬さん……?」
「うまそう、早速食べて良い?」
「はい、もちろんです。お口に合えば良いのですが……」
「いただきます」
手を合わせて、早速、小松菜と油揚げのおひたしから食べ始めた。萌衣は自分が食べるのも忘れて、つい高瀬に見入ってしまう。
箸の使い方一つとっても、所作が綺麗なのだ。
果たして、彼の口に合ったのだろうか。
以前、社食でご飯を食べた時にも、お裾分けはしているけれど。
萌衣は様子を見守りながら、ごくりと唾を飲み込んだ。
「ん、美味い」
「……はぁー、本当に良かったです」
「次は卵焼き。朝比奈は食べないのか?」
「あ、食べます。すみません、感想が気になってしまって」
高瀬の様子を見届けたところで、萌衣も自分のお弁当箱のふたを外し、そっと箸を伸ばした。以前宣言した通り、中身は高瀬のお弁当箱と全く同じだ。
誰かに見られたら、余計な勘違いをされそうではある。
(私が作ってるって誰かにバレたら、高瀬さんに迷惑かけちゃいそうだし……気をつけないと。ちゃんと食べてくれるなら、今後は一緒に食べなくても……)
「朝比奈?」
「え……? あ、はいっ」
「どうした? 箸、止まってる」
「すみません、ちょっと考え事をしてました」
「あ、そういえば、明日の天気予報は雨だったな」
突然、高瀬はスマホを取り出し、天気予報を確認し始めた。明日は雨なら、ここで一緒にご飯を食べることはできないだろう。
自分から「今後は別々で食べましょう」なんて言わなくても、天気が自然と二人の『適度な距離』を作ってくれる。
外はこんなに晴れているというのに、萌衣の心はなんだか晴れなかった。
「明日は雨なんですね。じゃあ、屋上では、」