雨の日が苦手だった、私たちは
無理ですね、そう言おうとした。
でも、高瀬は「そうそう」とスマホに視線を落としたまま、いつも通りの調子で話し続ける。
「だから、明日は社食で食べよう」
「……えぇっ!?」
「え、なんでそんなに驚く? 俺、変なこと言った?」
「いえ、そういうわけじゃないんですけど……」
社食で一緒にお昼(お弁当)を食べよう、ということなのだろうか。
それでは、他の人にバレてしまう可能性が格段に上がる。新婚夫婦とは言わずとも、『高瀬と萌衣が特別な関係である』と勘違いされかねない。
高瀬はそれに気づいていないのだろうかと、ちらりと顔を見上げる。
高瀬は「ん?」と何も気づいていない様子だ。
萌衣相手では、そんな想像にも至らないほど対象外ということなのか。
(高瀬さん、誰よりも仕事はできるのに、そういうのは疎いのかな……私が周りの目を気にし過ぎ?)
これでは、自分ばかりが意識しているようで、ものすごく恥ずかしい。断るのも申し訳ないと思い、萌衣は苦し紛れに代替案を出した。
「分かりました、では、私は気分転換に社食メニューにしますね。高瀬さんはどうしますか? お弁当を作るでも、私は大丈夫ですけど」
「え、一人分作るのは面倒じゃないか?」
「大丈夫ですよ。では、明日は高瀬さんの分だけ、作ってきますね」
「お、やった」
雲の隙間から差し込む太陽が、彼の周りを明るく照らしている。子供のようにはにかむ笑顔は、太陽の光を受けていつも以上に眩しく見えた。
高瀬陽——その名前の通り、周囲を明るく照らす太陽のような人だと、萌衣は思う。ぽかぽかと、こちらの心まで温まってしまうような。
『鬼』という周りの噂が、どうにも彼には似つかわしくなかった。
「よし、これ食べて、午後も仕事頑張るか」
「はい、そうですね」
背中に優しく陽の光が当たり、暑過ぎず、心地良く感じる。ずっと、この場所でのんびり過ごしていたいと思ってしまうくらいには。
二人でご飯を食べる時間は、あっという間に過ぎていった——。
***
でも、高瀬は「そうそう」とスマホに視線を落としたまま、いつも通りの調子で話し続ける。
「だから、明日は社食で食べよう」
「……えぇっ!?」
「え、なんでそんなに驚く? 俺、変なこと言った?」
「いえ、そういうわけじゃないんですけど……」
社食で一緒にお昼(お弁当)を食べよう、ということなのだろうか。
それでは、他の人にバレてしまう可能性が格段に上がる。新婚夫婦とは言わずとも、『高瀬と萌衣が特別な関係である』と勘違いされかねない。
高瀬はそれに気づいていないのだろうかと、ちらりと顔を見上げる。
高瀬は「ん?」と何も気づいていない様子だ。
萌衣相手では、そんな想像にも至らないほど対象外ということなのか。
(高瀬さん、誰よりも仕事はできるのに、そういうのは疎いのかな……私が周りの目を気にし過ぎ?)
これでは、自分ばかりが意識しているようで、ものすごく恥ずかしい。断るのも申し訳ないと思い、萌衣は苦し紛れに代替案を出した。
「分かりました、では、私は気分転換に社食メニューにしますね。高瀬さんはどうしますか? お弁当を作るでも、私は大丈夫ですけど」
「え、一人分作るのは面倒じゃないか?」
「大丈夫ですよ。では、明日は高瀬さんの分だけ、作ってきますね」
「お、やった」
雲の隙間から差し込む太陽が、彼の周りを明るく照らしている。子供のようにはにかむ笑顔は、太陽の光を受けていつも以上に眩しく見えた。
高瀬陽——その名前の通り、周囲を明るく照らす太陽のような人だと、萌衣は思う。ぽかぽかと、こちらの心まで温まってしまうような。
『鬼』という周りの噂が、どうにも彼には似つかわしくなかった。
「よし、これ食べて、午後も仕事頑張るか」
「はい、そうですね」
背中に優しく陽の光が当たり、暑過ぎず、心地良く感じる。ずっと、この場所でのんびり過ごしていたいと思ってしまうくらいには。
二人でご飯を食べる時間は、あっという間に過ぎていった——。
***