雨の日が苦手だった、私たちは
「……あ、高瀬さん。パフェ、出来たみたいですよ?」
「本当だ、戻るか」
パフェをテーブルに置いた店員が、こちらの様子を伺っている。
席に戻り、背の高いパフェを見て「すごい……」とつい声が漏れてしまう。目の前の“芸術品”に目を見張った。
「高瀬さんのパフェ、何ていう名前でしたっけ?」
「パフェの名前は……プラネタリウム」
「わぁ、星が浮いてて綺麗ですね」
パフェは何層にも重なっており、下の方のジュレの中には星型のゼリーが浮かんでいる。
ジュレの細かい気泡は、星屑のように見えた。
チョコレートやメレンゲ、ガレット、果物など、全部で20種類くらいの素材を組み合わせて、ひとつのパフェを作っているらしい。
中にはリキュールといった、お酒が使われているパフェもあるそうだ。もちろん、お酒が飲めない高瀬は選ばなかったけれど。
……これだけ手の込んだパフェなのだ。
出てくるまでに20分かかる、というのも頷ける。
「朝比奈のクラシックプリンも、美味そうだな。それじゃ早速、いただきます」
「私も、いただきます」
萌衣はカラメルソースがたっぷりかかったクラシックプリンに、スプーンを入れた。
一方、高瀬はというと、細長いパフェスプーンを使って器用に掬っている。
なるべく崩れないよう、慎重に手を動かす姿は、少しでも長くその美しさを堪能したいのだと見てとれた。
ぱくと口に含んだ高瀬の様子を伺うと、ほんの少し、頬が緩んでいた。
(高瀬さん、幸せそう……本当に甘いものが好きなんだ)
高瀬は何も喋ることなく、再びパフェスプーンを深く差し込む。
サクッという乾いた音がした。細かく砕かれたアーモンドガレットの層に当たったようだ。少しずつ、ガレットの次にある夜空を模したジュレの層を目指している。
こちらが視線を送っていることに気付いたのか、高瀬は「あ、悪い」と言った。特に迷惑なんてかかっていないのに。
ふと、我に返ったような顔をした。
「つい、夢中になって食べてた」