雨の日が苦手だった、私たちは
今まで通り、じゃなくなる
萌衣は家に帰り、洋服もそのままに、自分の身をベッドに投げた。そして天井に向かって、「はぁ〜〜疲れた〜〜」と無意識に声を出していた。
そのまま眠ってしまいそうになるが、萌衣は体に鞭を打つようにして起き上がった。その足で、まずは体温計を取りに行く。そして早速、脇に挟んだ。
——ピピッ
「38度……思ったより高い……」
体温計をテーブルに置き、ひとまず部屋着に着替えた。そして、再び横になる。
ふうと大きく息を吐いた時、スマホが着信を告げた。画面を見ると、妹の杏奈だった。天井を見上げながら、スマホを耳に当てる。
「んー……杏奈、どうしたの?」
『あれ、お姉ちゃん、もう寝てた?』
「ううん、さっき帰ってきた所。ちょっと熱があるみたいで、横になってた」
『えぇっ 大丈夫なの? 何か買って、そっちに行こうか?』
「ふふ、杏奈は昔から大げさだなぁ。多分、風邪だから、少し休めばすぐに良くなるよ。それより、何か用事があったんじゃないの?」
杏奈は「そうそう!」と言って、電話した理由を話し始めた。
杏奈は近々、幼馴染の大輝くんと結婚する予定だ。両家で食事会をするから、萌衣にも帰ってきて欲しいという話だった。
『まぁ、もう昔からの仲だから、顔合わせとかいらないと思うんだけど。せっかくだからみんなでご飯食べようって。お姉ちゃん、来れそう?』
「うん、大丈夫だよ。私の方で何か準備した方がいいことある?」
『いや、全部こっちでやるから大丈夫だよ! 人の心配より、まずはちゃんと体直して? お姉ちゃんって、本当昔から変わらないよね』
「何が?」
なんのことだろう、と首を傾げる。
何が昔と変わらないのか、萌衣にはよく分からなかった。
『昔っからそうだけど、いつも周りのことばっかり考えてて、自分のことは後回し。しかも、苦労しててもそれに気づかないから、限界に気づくのが遅いし……今日体調を崩したのだって、きっとそうでしょう? 本当は、予兆があったんじゃない?』
「そう、なのかな……」