雨の日が苦手だった、私たちは
「石原さん、よろしくお願いします! すみません、皆さんのお顔とお名前をまだ覚えられていなくて……」
「いえいえ、初日から全部覚えられる人はいませんよ。それと、もし今からランチならご一緒しても良いですか?」
「はい! よろしければ、ぜひ」
「あ、石原くーん! 抜け駆けずるいよ〜私たちも入れてー!」
石原が来た方向を見ると、女性社員二人が、こちらに手を振っていた。どうやら、同じ部署の人たちのようだ。
「安藤さん、もちろんっすー! 柳さんも参加ですかね? 席取っておきまーす!」
「ありがとー! すぐ行くねー!」
二人のやり取りが終わると、石原はニカッと笑顔を向けてきた。
石原の笑顔は、高瀬のそれとは少し違う。
高瀬はいかにも貴公子といった品のある笑顔だが、石原はワンコ系というか、いとも簡単に相手の警戒心を解いてしまう魅力がある。
「俺も高瀬さんと同じ営業なんですけど、さっきの安藤さんは俺のサポートをして下さっている方なんです。姉御肌というか、本当に頼りになる方で。あと柳さんも営業事務の方です」
「なるほど、お二人とも私と同じ業務をされている先輩なんですね。いろいろとお話し聞きたいなぁ……」
「はいっ、せっかくの機会なので、みんなで朝比奈さんのウェルカムランチにしましょう!」
「わぁ……お気遣い、ありがとうございます!」
石原の気遣いに頬を緩めながら、二人並んでカフェテリアに向かった。
四人掛けの席を確保すると、後から安藤と柳もやってきた。それぞれランチプレートを注文し、丸テーブルを囲むように腰を下ろす。三人の顔がよく見えた。
「それじゃあ、今日は『朝比奈さんようこそ!』ということで。あ、歓迎会もちゃんとやるので、その時に乾杯しましょうね」
「そうだね、歓迎会はきっと柳ちゃんがしっかり取り仕切ってくれるでしょう。楽しみだね〜」
「え、安藤さんってば、私幹事で決まりなんですか? いや、全然やるんですけど……。あ、朝比奈さん、営業事務の柳です。よろしくお願いします」