雨の日が苦手だった、私たちは
それぞれが言いたいことを言っているものの、最初に挨拶をしてくれた柳に萌衣は会釈した。
「私は安藤です! 石原くんの営業事務を担当してます。よろしくね」
「俺はさっきも自己紹介しましたけど、改めて……営業担当の石原です。よろしくお願いします!」
「皆さん、ありがとうございます。朝比奈萌衣です」
パチパチ、と拍手をされる。
こうやって快く迎え入れてくれて、本当に良い人が多い部署だなと思う。
以前、総務で一緒に働いていた先輩とは、全然違う。
一年前にリニューアルしたばかりのカフェテリアは、内装もお洒落で、たくさんの社員が利用している。
お弁当の持ち込みもOKということもあり、今日もたくさんの人で賑わっていた。
萌衣もお弁当を作って持参する派ではあるが、異動したばかりで勝手が分からない。
今日はここのメニューの一つであるハンバーグプレートを食べることにした。ちなみに石原は生姜焼き定食、安藤と柳はグリルチキンと温野菜プレートだ。
それぞれ食べ始めると、早速、高瀬の話が上がった。
「そういえば、高瀬くんは一緒にランチ来なかったんだ?」
「高瀬さん、いつもお昼食べてなくないですか?」
「えー、私この間、デスクで作業しながら、おにぎり食べてる高瀬さん見ましたよ」
「うわ、本当に休みなく働いてるよね。若いから良いけど、30超えたら本当に倒れるよ。あれ、高瀬くんはもうすぐ30か」
ははっと笑いながら、安藤が呆れたような声を出す。萌衣の予想通り、高瀬はまともにお昼ご飯を食べていないことが分かった。
食に関心がないのか、忙しすぎて食べる時間も惜しいのか……。
「朝比奈さんはさ、高瀬くんと面識あった?」
「いえ、ほとんどなくて……でも、以前飲み会の席に、高瀬さんが無理やり連れてこられたのは見ました」
「へぇ、そうだったんだ。高瀬くん、あんまり社内のそういう会には行かないのに珍しい。どんな感じだった?」