雨の日が苦手だった、私たちは

 その後は、解決の糸口も見えたことで、スムーズに商談を終えることができた。

 萌衣、高瀬、森川の三人で会社の外に出ると、雨はまだ強く降っていた。
 萌衣は、事前に呼んでいたタクシーが来ていないことに気づき、鞄から社用スマホを取り出す。

 着信履歴に覚えのない電話番号が表示され、萌衣はその番号にかけ直した。どうやら、大雨の影響で時間がかかっているらしい。


 ようやく到着したタクシーに乗り、急いで金沢駅に向かう。すると、また予想外の事態に出くわした。


『大雨の影響で、北陸新幹線は運転を見合わせています——』

「え……」
「あーこれは……今日帰るのは厳しそうだな」
「あの、高瀬さん……さっきも思ったのですが、全然動揺しないですよね?」
「いや、そんなことはないけど。とにかく、呆然としてても仕方ないだろ? 近隣のホテルを手分けして探そう」
「……はい!」


 呆然としていた萌衣は、高瀬の言葉にはっとして動き出す。

 すぐに、近隣のホテルを検索した。しかし、どこも満室で予約できそうにない。
 どうやら高瀬も同じ状況だったらしく、彼はすぐに誰かに電話をかけ始めた。


「森川さん、お世話になっております。突然すみません。……あ、いや、何か忘れたわけではなくて。今、金沢駅で足止めされておりまして……はい、そうなんです、今日はもう戻れそうにないので泊まる場所を探しているのですが……あ、ありがとうございます! 大変助かります」


 やり取りを聞きながら、萌衣は検索を続ける。
 確かに、金沢在住の森川なら、どこかいい場所を教えてくれるかもしれない。


「……高瀬さん、森川さんにお願いしたんですか?」
「あぁ、こういう時は、地元の人に聞いた方が良いだろう」


 数分後、森川から折り返しの電話がかかってきた。
 電話を受けて、高瀬が「本当ですか!」と嬉しそうな声を出した。でも、そのあとすぐに「え……」と戸惑うような声に変わる。
 どうしたんだろう、と萌衣はその様子を伺った。
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