雨の日が苦手だった、私たちは
side高瀬陽
晴れた空の下、人の少ない屋上。
プラスチックの蓋をパカッと外すと、唐揚げや卵焼きが入ったお弁当が顔を出す。割り箸をパキッと割り、早速、口に運んだ。
「……やっぱり違うな。もう、朝比奈のご飯の味に慣れたのか?」
はぁ、と大きく息を吐く。朝比奈と出張に行った時、「お弁当作るの、もうやめますね」と言われた。
それを言われた時、体からすっと熱が抜けていった。頭では分かっている、朝比奈にそこまでやってもらうのがそもそもおかしかったのだと。
なのに、なぜかそわそわと落ち着かない。
彼女の負担になっているのなら、それを受け止めるのは当たり前だ。彼女の善意に甘えて、あぐらをかいてはいけない。でも——。
「……なんで、突き放されたと思ってしまったんだろうな」
お弁当を作るのをやめる。
それ以上でも、それ以下でもない。
そこにどんな感情があるのか、朝比奈に聞かないと分からないはずなのに。
咄嗟に思ってしまった。「あぁ、朝比奈は俺を遠ざけたいんだな」と。その言葉を思い出すたび、胸の奥がざわつく。
その日の晩は、すぐに寝付けなかった。
近くに朝比奈がいたからかもしれない。その小さな背中を見ながら、自分の『言葉にできなかった感情』と向き合っていた。
翌朝、彼女は早い時間に目を覚ましていた。しかも、その理由が「いつもお弁当を作っているから、つい癖で」と言う。
そう言ってはにかむ彼女が、愛おしいと思ってしまった。でも、そんな淡い感情は、一瞬で黒く塗りつぶされた。
『昨日、言いましたよね? 私の仕事じゃないって』
困ったように言う彼女に、行き場を失った感情をぶつけてしまった。
いつの間にか、彼女にキスをしていた。
(なんで、俺は同僚の朝比奈にこんなことを……)
呆然としてしまった。自分の行動を、理屈で説明できない。
プラスチックの蓋をパカッと外すと、唐揚げや卵焼きが入ったお弁当が顔を出す。割り箸をパキッと割り、早速、口に運んだ。
「……やっぱり違うな。もう、朝比奈のご飯の味に慣れたのか?」
はぁ、と大きく息を吐く。朝比奈と出張に行った時、「お弁当作るの、もうやめますね」と言われた。
それを言われた時、体からすっと熱が抜けていった。頭では分かっている、朝比奈にそこまでやってもらうのがそもそもおかしかったのだと。
なのに、なぜかそわそわと落ち着かない。
彼女の負担になっているのなら、それを受け止めるのは当たり前だ。彼女の善意に甘えて、あぐらをかいてはいけない。でも——。
「……なんで、突き放されたと思ってしまったんだろうな」
お弁当を作るのをやめる。
それ以上でも、それ以下でもない。
そこにどんな感情があるのか、朝比奈に聞かないと分からないはずなのに。
咄嗟に思ってしまった。「あぁ、朝比奈は俺を遠ざけたいんだな」と。その言葉を思い出すたび、胸の奥がざわつく。
その日の晩は、すぐに寝付けなかった。
近くに朝比奈がいたからかもしれない。その小さな背中を見ながら、自分の『言葉にできなかった感情』と向き合っていた。
翌朝、彼女は早い時間に目を覚ましていた。しかも、その理由が「いつもお弁当を作っているから、つい癖で」と言う。
そう言ってはにかむ彼女が、愛おしいと思ってしまった。でも、そんな淡い感情は、一瞬で黒く塗りつぶされた。
『昨日、言いましたよね? 私の仕事じゃないって』
困ったように言う彼女に、行き場を失った感情をぶつけてしまった。
いつの間にか、彼女にキスをしていた。
(なんで、俺は同僚の朝比奈にこんなことを……)
呆然としてしまった。自分の行動を、理屈で説明できない。