祝福のあとで
玄関のドアが閉まる。
外の音が遠のいて、
部屋の中に、二人分の気配だけが残った。
直は、
前に来たときと同じように靴を揃える。
その仕草に、
ひかりは少しだけ胸が詰まった。
前に来た夜は、
ここでご飯を食べる余裕なんて、なかった。
お互い、
気持ちの方が先に溢れてしまって。
「……今日は」
ひかりは、
キッチンに向かいながら言う。
「ちゃんと、作るから」
自分でも、
少し硬い声だと思った。
直は、
上着を置きながら、
一瞬だけこちらを見る。
「うん」
それだけ。
期待も、
評価も、
乗せない返事。
だから余計に、
緊張する。
ひかりは、
冷蔵庫を開けて、
中を確認する。
昨日のうちに、
買っておいた食材。
何度も考えて、
派手すぎないものを選んだ。
——初めてだ。
直に、
自分の手料理を出すのは。
バーでも、
直の家でも、
いつも食べる側だった。
美味しいものを、
当たり前みたいに差し出されて。
それを思い出して、
ひかりは小さく息を吐く。
「……ちょっと、緊張してます」
ぽつりと零す。
直は、
ソファに腰を下ろしてから答えた。
「分かる」
即答。
「俺も、最初はそうだった」
ひかりは、
思わず振り返る。
「直も?」
「うん。
自分の場所に人を入れるのも、
作るのも」
「どっちも、慣れるまで時間かかった」
慰めじゃない。
比較でもない。
ただ、
同じ立場に立つ言い方。
ひかりは、
少しだけ肩の力が抜けた。
外の音が遠のいて、
部屋の中に、二人分の気配だけが残った。
直は、
前に来たときと同じように靴を揃える。
その仕草に、
ひかりは少しだけ胸が詰まった。
前に来た夜は、
ここでご飯を食べる余裕なんて、なかった。
お互い、
気持ちの方が先に溢れてしまって。
「……今日は」
ひかりは、
キッチンに向かいながら言う。
「ちゃんと、作るから」
自分でも、
少し硬い声だと思った。
直は、
上着を置きながら、
一瞬だけこちらを見る。
「うん」
それだけ。
期待も、
評価も、
乗せない返事。
だから余計に、
緊張する。
ひかりは、
冷蔵庫を開けて、
中を確認する。
昨日のうちに、
買っておいた食材。
何度も考えて、
派手すぎないものを選んだ。
——初めてだ。
直に、
自分の手料理を出すのは。
バーでも、
直の家でも、
いつも食べる側だった。
美味しいものを、
当たり前みたいに差し出されて。
それを思い出して、
ひかりは小さく息を吐く。
「……ちょっと、緊張してます」
ぽつりと零す。
直は、
ソファに腰を下ろしてから答えた。
「分かる」
即答。
「俺も、最初はそうだった」
ひかりは、
思わず振り返る。
「直も?」
「うん。
自分の場所に人を入れるのも、
作るのも」
「どっちも、慣れるまで時間かかった」
慰めじゃない。
比較でもない。
ただ、
同じ立場に立つ言い方。
ひかりは、
少しだけ肩の力が抜けた。