祝福のあとで
ひかりside
二次会は、
拍子抜けするほどあっさり終わった。
新郎新婦の
「今日はありがとう!」
という声を合図に、
店内の熱が、少しずつ解けていく。
グラスが空になり、
椅子が引かれ、
名残惜しそうな笑い声が、
夜に散っていった。
ひかりは、
コートを手に取りながら、
自然とカウンターの方を見た。
直は、
いつもなら最後まで残って片付けを始める時間なのに、
今日は違った。
スタッフに、
短く何かを伝えて、
すぐにカウンターを出てくる。
ひかりの前に立って、
低い声で言った。
「行こう」
それだけ。
片付けも、
挨拶も、
最低限。
まるで、
今すぐこの場所を離れたかったみたいに。
「……大丈夫?」
ひかりが小さく聞くと、
直は頷くだけだった。
「残ってたら、明日やる」
その言い方は、
少しだけ強い。
ひかりは、
それ以上何も言わずに、
直の後ろについていった。
バーの扉を押すと、
夜の空気が、
一気に流れ込む。
音楽も、
笑い声も、
すっと遠くなる。
直は、
外に出るなり、
ひかりの手を取った。
さっきまでより、
ずっと温かい。
強くはない。
でも、
包み込むみたいな手だった。
ひかりは、
何も言わずに、
その手に身を委ねる。
言葉のないまま、
二人は歩き出す。
靴音だけが、
静かな道に重なる。
少し歩いてから、
直が低く息を吐いた。
「あの人……」
一拍。
名前は出さない。
「さっき、
カウンターに来てた人」
ひかりは、
足を止めずに頷く。
「……あき?」
直は、
その呼び方に、
一瞬だけ視線を落とした。
「うん」
短く答えてから、
言葉を探すみたいに間を置く。
二次会は、
拍子抜けするほどあっさり終わった。
新郎新婦の
「今日はありがとう!」
という声を合図に、
店内の熱が、少しずつ解けていく。
グラスが空になり、
椅子が引かれ、
名残惜しそうな笑い声が、
夜に散っていった。
ひかりは、
コートを手に取りながら、
自然とカウンターの方を見た。
直は、
いつもなら最後まで残って片付けを始める時間なのに、
今日は違った。
スタッフに、
短く何かを伝えて、
すぐにカウンターを出てくる。
ひかりの前に立って、
低い声で言った。
「行こう」
それだけ。
片付けも、
挨拶も、
最低限。
まるで、
今すぐこの場所を離れたかったみたいに。
「……大丈夫?」
ひかりが小さく聞くと、
直は頷くだけだった。
「残ってたら、明日やる」
その言い方は、
少しだけ強い。
ひかりは、
それ以上何も言わずに、
直の後ろについていった。
バーの扉を押すと、
夜の空気が、
一気に流れ込む。
音楽も、
笑い声も、
すっと遠くなる。
直は、
外に出るなり、
ひかりの手を取った。
さっきまでより、
ずっと温かい。
強くはない。
でも、
包み込むみたいな手だった。
ひかりは、
何も言わずに、
その手に身を委ねる。
言葉のないまま、
二人は歩き出す。
靴音だけが、
静かな道に重なる。
少し歩いてから、
直が低く息を吐いた。
「あの人……」
一拍。
名前は出さない。
「さっき、
カウンターに来てた人」
ひかりは、
足を止めずに頷く。
「……あき?」
直は、
その呼び方に、
一瞬だけ視線を落とした。
「うん」
短く答えてから、
言葉を探すみたいに間を置く。