祝福のあとで
第2章 名前のない夜
街の喧騒から少しだけ離れた場所に建つ
【チャペル・ド・ルミエール】でウェディングプランナーとして働いて、もう五年になる。
白い建物に差し込む光は、時間帯によって表情を変える。
朝は柔らかく、昼は眩しく、夕方には少しだけ影を落とす。
私はその変化を、誰よりも近くで見てきた。
式の流れも、トラブルの芽も、新郎新婦の表情の揺れも。
どこで声をかけるべきか、どこで黙るべきか。
考えなくても、体が先に動く。
——仕事としては、もう完璧に近い。
ウェディングプランナーは、祝福する側の人間だ。
主役にはならないし、拍手の中心にもいない。
それでも、誰かの人生でいちばん大切な一日に立ち会う。
「向いている仕事ですね」
そう言われることも多い。
たぶん、それは本当だと思う。
人の話を聞くのは苦じゃないし、感情の波に飲まれすぎることもない。
泣いている新婦の隣に、冷静に立てる。
——少し前までは、それを誇らしいと思っていた。