レオン
「……もう少しで四時間が終わる頃か」
別にこいつの事を律儀に起こしてやろうと思ってた訳じゃない。
ただ、たまたま俺が昼寝から起きたのがその時間で、たまたままだこいつが隣で寝ていただけの事だった。
だから、ついでに起こしてやろうかと思った。ただ、それだけだ。
「おい、起きろや」
先程の恨みも込めて強めに涼井の背中に蹴りを入れると、「いってぇ!」と言いながら慌てて涼井が飛び起きた。
「いてぇなクズ!なにしやがる!」
「誰がクズだよ!わざわざ起こしてやったんだからありがたく思え!」
「あ?……あー、もうこんな時間か」
食ってかかった勢いはどこへやら、涼井は眠そうに欠伸を一つすると、にへらと緩く笑った。
「目覚まし係ご苦労。煙草と蹴りは多めに見といてやるよ」
「なんでそんな上からなんだよお前……」
「実際に俺の方が"上"なんだからしょうがないだろ?じゃーな、不良少年」
手をヒラヒラと振りながら立ち去る涼井。
あそこまで自信過剰な奴は見たことが無いし、あそこまで生意気な奴も見たことがない。
だが、人はある基準を大幅に越えた奴を見てしまうと、意外にも怒りより感心に近い感情が芽生えるらしい。
(やっぱり前言撤回だな)
ちょっとやそっとの事で曲がんじゃねーよ。
涼井が出て行った扉を俺はしばらくの間ジッと眺めていた。