レオン
それから、涼井世那とは何度か屋上で会うことがあった。
「煙草って美味いの?」
煙草を吸う俺を妙に綺麗な目でジッと見つめる涼井に言い淀む。
「……別に……」
「じゃーなんで吸ってんの?イキってんだろクソガキ」
「うるせーなぁ!別に良いだろ吸ってても!」
「良くねーよ、フクリューエン?を俺に吸わせんじゃねー」
覚えたての言葉を使って俺に悪態を付いてくるこいつがなんだか面白くて、ふーっと涼井に煙草の煙をかけると、案の定、涼井はゴホゴホとむせ出した。
「くっせーんだよ!死ねクソガキ!」
「ははっ!ざまぁみやがれ!」
「煙草吸って大人ぶってる馬鹿ガキ。アホ。イキリドーテー」
「どっ……それは、お前だってそうだろうが……!」
中学一年生なんて大体のやつはそんな経験ないに決まってる。
そう思って涼井に吹っ掛けたのに、涼井はいやらしく目を細めてニッコリと笑いかけた。
「俺?俺はお前と違って色んな経験があんのー、残念だったなクソガキ」
「………」
「あ?なに黙ってんだよイキリドーテーキッズ。言い返せるなら言い返してみろ馬鹿ガキ」
こんなに口の悪いガキに経験があるとは思えない。
だけど、妙な所で大人びた雰囲気を感じることがない訳ではない。
むしろそこが嫌な説得力となってしまって俺の口を閉ざすことになってしまっている。
「黙っちゃったよ。じゃ、俺はもう行くから。じゃーなチェリーボーイ」
ひらひらと手を振る涼井にまたもや俺はあいつの背中を見つめるだけだった。