レオン
「そういやお前名前なんだっけ」
屋上で寝転がりながら涼井が俺の目を見て言った。
「はぁ?お前、同じクラスなのに俺の名前すら知らねーのかよ」
「そりゃ興味無いからな」
ケロッとした顔でいってんじゃねぇ。
何回も屋上で顔合わせてんのに名前すら覚えて貰えてなかったのかよ。
その事実を認めるのが嫌で思わず涼井から目を背けると「なあなあ」と甘えた声で俺の腕を引っ張った。
「触んじゃねー」
「良いじゃん、教えてくれたって」
「興味ねぇんだろ?誰が教えるかよ」
「じゃー、今興味出た。だから教えろよ」
目を細めてにへらと笑うこいつに、自然と言葉が出そうになってる自分に驚いた。
「れ……」
「れ?」
「玲央……宇佐見、玲央……」
「レオン?ジャン・レノ?」
「はぁ?なんだそれ」
「知らねーの?学がないやつはこれだから困るんだよな〜、俺は洋画も嗜んでっから」
訳の分からない事を言う涼井に困惑してると、涼井は人懐っこい笑顔を俺にみせた。
「でも、レオンはわりと好きだよ。良かったな」
「……だから、俺の名前は玲央だっつってんだろ……」
「なぁレオン、今度お前の耳朶貸せよ。ピアス開ける練習すっから」
名前は間違えるし、流れでとんでもないこと言ってるしでめちゃくちゃな奴だ。
なのに、その間違った名前を呼ばれる度にどこか高揚感を覚える自分も確かにいたんだ。