レオン


俺の耳朶に3つのピアスが埋め込まれた頃だった。


「なぁ、そろそろピアス開けんの慣れてきたんじゃねーの?」


世那にそう言うと、世那は「あー…」と少し残念そうな、なんとも言えない声色で言葉を濁した。


「慣れてきたけど……なんかもういいわ」


「はぁ?なにが?」


「ピアス嫌だって言われたから。なら俺もピアス付ける意味ないし」



拗ねたように口を尖らせる世那。

嫌だって言われたって、誰にだよ。

親に反対されたって意味かと思ったが、親に反対されたぐらいで止めるような奴じゃないことぐらい見て分かる。


「誰に言われたんだよ」


「あ?なんでお前に言わなきゃなんねーのー?」


「練習台になってやったんだからそんぐらい教えろよ」


「やだね。つーか、お前だって俺にピアス開けられるの癖になってただろ?変態〜」



ニヤリと意地悪げに笑う世那を軽く小突く。

余裕を見せたくて「お前って本当馬鹿なんだな」って言葉を紡ぐ。

でも、本当に馬鹿なのは俺だ。

俺は名前も知らない誰かに嫉妬してるんだ。

世那にこんな表情をさせる奴が居るなんて、信じられないから。


(……つーか、俺って世那のことなんも知らねーわ)


思えば俺と世那が話すのはサボった時の僅かな一時。
クラスで話すこともないし、帰りだってわざわざ一緒に帰ったりしない。

ただ、たまたまサボった時に一緒でそんときになにか遊ぶだけの良いとこ"悪友"みたいな関係。



「開けたかったなぁ」


名残惜しそうに呟く世那にドス黒い感情を抱く俺は、きっと世界で一番気持ち悪い。


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