先輩、好きです。



矢吹の無表情。


素っ気ない反応。


私の褒め言葉なんて、空気みたいな扱いだったくせに、入出とはふつうに会話するようになっていた。




ムカつく。




けど、やっぱりあいつのプレーを見たら、そんなことどうでもよくなっちゃうくらい魅了される。
もっと、見ていたいと思ってしまう。




それもムカつく。





「先輩」





不意に背後から声をかけられて、手が止まった。


振り返ると、そこには矢吹の姿があった。





「……え?何、どうしたの?」





予想外の相手に、間抜けな声が出た。


部員たちは今頃ストレッチをしているはずだし、なにより、矢吹が自分から私に話しかけてくるとは思わなかった。
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