先輩、好きです。



それ以上、押しつけがましい態度はない。


ただ、自分なりに筋を通そうとしているような、妙な真面目さがそこにはあった。



私は少しだけ口を開けたまま、言葉に詰まった。




無愛想で素っ気ないくせに、こういうときは妙に律儀って…どういう性格してるんだか。





「…じゃあ、ボールかご中に運んでもらおうかな」





そう言うと、矢吹は小さく頷いて、無言のままボールかごを押し始めた。


正直、一人で運ぶには重かったから助かっている。





「…ありがと」





背中越しにそう言うと、矢吹は小さく息を吞むように「…いえ」と返事をした。



ちゃんと返事をしてくれたことが少し意外で、なんだか嬉しくて、少しだけ心があたたかくなるのを感じた。
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