先輩、好きです。
振り返ると、矢吹はいつもと変わらない表情で、まっすぐ私を見つめていた。
その表情からは何も読み取れない。
────あ、ほくろあるんだ。
髪で隠れていて気づかなかったけど、よく見ると、矢吹の左目には小さな泣きぼくろがあった。
ほくろの位置まで整ってるなんて、羨ましい。
そんなことを考えていたら、矢吹が口を開いた。
「先輩、好きです」
その言葉が静かに、しかし確実に空気を切り裂いた。
耳に届いた瞬間、すべての時間が止まったように感じた。
何度も何度も言葉を反芻するけど、その意味がどうしても飲み込めない。
────今、こいつはなんて言った?
「……そ、それって、親愛的な意味の……?」
苦しまぎれにそう尋ねると、矢吹は小さく首を振った。
と、いうことは────恋愛的に好き?私を?
理解が追いつかない。