先輩、好きです。
「…ありがと」
背中越しにそう言うと、矢吹は小さく息をのむように「…いえ」と返事をした。
ちゃんと返事をしてくれたことが少し意外で、なんだか嬉しくて、少しだけ心があたたかくなるのを感じた。
「…さっきのプレーもよかったよ。悔しいけど、やっぱり見惚れちゃう」
口に出すのは照れくさかったけど、それでも本音を伝えずにはいられなかった。
矢吹の無愛想さを知ったうえで、それでも私はこいつのプレーに心を奪われてしまう。
それはもう、どうしようもない事実だった。
それならいっそ、このかわいくない後輩の無愛想さも受け入れてしまおう。
「性格は全然だけどね」
軽く笑ってそう付け加える。
振り返った矢吹の目は、ほんの少し見開かれていた。