先輩、好きです。



「さ、片付けも済んだし、戻ろう」




準備室の扉に手をかけたそのとき、背後から低い声が聞こえた。



振り返ると、矢吹はいつもと変わらない表情で、まっすぐ私を見つめていた。

その表情からは何も読み取れない。




――――あ、よく見たら左目のとこにほくろあるんだ。




こんな近くで、ちゃんとお互いが向き合ったことなんてなかったから気づかなかった。


ほくろの位置まで整ってるなんて、羨ましい。



そんなことを考えていたら、矢吹が口を開いた。




「先輩、好きです」




その言葉が静かに、しかし確実に空気を切り裂いた。
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