先輩、好きです。



「さ、片付けも済んだし、戻ろう」





準備室のドアに手をかけたそのとき、背後から低い声が響いた。


振り返ると、矢吹はいつもと変わらない表情で、まっすぐ私を見つめていた。
その表情からは何も読み取れない。



私は心のどこかで、ちゃんと感謝されるのかもと、ほんの少しだけ期待していた。




だけど、矢吹が放った言葉は、私の予想を大きく裏切った。





「先輩、好きです」





その言葉が静かに、しかし確実に空気を切り裂いた。



耳に届いた瞬間、頭の中が真っ白になり、思考がシャットダウンされる。
何度も言葉が反響するけど、その意味がどうしても飲み込めない。





――――今、こいつは何て言った?
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