先輩、好きです。
────どうしたかって?あんたの後輩に告白されたんだよ。
なんて、そんなこと口が裂けても言えない。
相手はあの無愛想でかわいげの欠片もない矢吹だ。
そんなやつに告白されたなんて、どう説明したって信じてもらえる気がしない。
それくらい、ありえないことなんだから。
「な、なんでもない」
「ほんとかあ?」
ずいっと顔を寄せられる。
すぐ目の前にある山岸の目がすべてを見透かしてきそうで、私は反射的にその顔を手で押し返した。
「近い!なんでもないって言ってるでしょ!」
「痛っ…!わ、悪かったって…!!」
ようやく山岸が身を引いたのを見て、私は気づかれないよう小さく息を吐いた。
私自身、まだ混乱している。
それでも、このことはなるべく人に知られない方がいい。
部内恋愛は当人同士だけの話で済まない。
周りまで巻き込んで、場の空気を変えてしまう。