先輩、好きです。
変に気を遣われるのも、気付かないふりをされるのも、どっちも息苦しい。
私がきっかけで居心地の悪い空気になるのは嫌だ。
────いや、それ以上にこっそり練習を見に来る女子たちの「え、あんなのが好きなの?」とでも言いたげな視線を向けられたくない。
品定めでもするような、刺すような視線を想像しただけで喉の奥がざらつく。
だからこれは、誰かに相談していい問題じゃない。
私が、自分でなんとかしないと。
「なに、考え事か?」
山岸の声に、はっと顔を上げる。
「まあ…………そんなところ」
できるだけ何でもないように返して、コートに目を向ける。
休憩中の部員たちが思い思いに過ごすなかで、視線がひとつの背中を捕まえた。
愚かにも心臓がさっきよりも騒がしく鳴り出す。
どうして、見つけてしまうんだろう。
かあっと頬が熱くなるのを感じてとっさに視線を外そうとする。
それなのに、一度捕まった意識がなかなか離れてくれない。