先輩、好きです。



勝手に告白して、私を振り回して、勝手に満足して帰った、あの後輩。


考えれば考えるほど、矢吹勝利という人間が分からなくなる。




無駄な言葉を一切使わないくせに、どうしてあんなひと言を残したのか。




冗談にしては性質が悪すぎるし、本気にしては説明がなさすぎる。





――――分からない。





「おい、めっちゃ睨んでるけど、なんかしたっけ俺」


「……別に」





考えてるうちに山岸を睨んでいたらしい。


すっと視線を外し、空になったボトルを片手にウォータージャグの前に立った、そのときだった。





「先輩」





背後からかけられたその声に、心臓がほんの一拍だけ跳ねた。
< 20 / 32 >

この作品をシェア

pagetop