先輩、好きです。
勝手に告白して、私を振り回して、勝手に満足して帰った、あの後輩。
考えれば考えるほど、矢吹勝利という人間が分からなくなる。
無駄な言葉を一切使わないくせに、どうしてあんなひと言を残したのか。
冗談にしては性質が悪すぎるし、本気にしては説明がなさすぎる。
――――分からない。
「おい、めっちゃ睨んでるけど、なんかしたっけ俺」
「……別に」
考えてるうちに山岸を睨んでいたらしい。
すっと視線を外し、空になったボトルを片手にウォータージャグの前に立った、そのときだった。
「先輩」
背後からかけられたその声に、心臓がほんの一拍だけ跳ねた。