先輩、好きです。
振り返ると、矢吹がボトルを持って立っていた。
昨日と何ひとつ変わらない表情。
まるで、あの告白なんて存在しなかったみたいに。
「…な、なに?」
声が裏返らなかっただけ、自分を褒めたい。
目のやり場に困っていると、矢吹はすっとウォータージャグを指さした。
「水、もらっていいですか」
昨日も聞いた、淡々とした声。
思わず身構えたのに、矢吹は何も変わらずボトルを差し出すだけだった。
「……あ、うん」
ぎこちなくボトルを受け取り、蛇口をひねる。
流れる水の音が、やけに大きく響いた。
満たされたボトルを差し出すと、矢吹は一歩だけ距離を詰め、それを受け取る。