先輩、好きです。
手で顔を覆っているものの、肩が小刻みに震えている。
堪えようとしているのは分かるのに、喉の奥からもれる息がもう笑っていた。
「な、なに笑ってんのよ!!」
つい尖った声が出る。
びしょびしょになった手をぎゅっと握りしめると、苛立ちと恥ずかしさが一気に込み上げてくる。
「いや……笑うなって方が無理だろ、今のは」
「笑ってないで、さっさと雑巾持ってきて!」
────ああ、最悪だ。
こんなの完全に八つ当たりじゃん。
苛立ちも、恥ずかしさも、全部私自身に向けてることなのに。
頭では理解しているはずなのに、思い通りに制御できない自分がいる。
未だに水滴を垂らし続けている手を視界の端に捉えていると、ふっと長い影が落ちた。
「……え」
反射的に顔を上げる。
山岸は肩のタオルを掴むと、私の濡れた手を無理やり引き寄せた。