先輩、好きです。
「ありがとうございます」
それだけ言って、矢吹は当然のようにコートへ戻ろうと背を向ける。
――――え?それだけ?
拍子抜けして、思わずその背中を目で追ってしまった。
やっぱり、昨日のは冗談だった?
それとも、私が深読みしすぎ?
あれは、『ラブ』の意味じゃなくて『ライク』の意味だった?
「……あ」
数歩進んだところで、矢吹が立ち止まり、振り返った。
「…また、見せます」
「は……?」
思わず、変な声が出た。
それだけ言って、今度こそ矢吹はコートに戻っていった。
何を、なんて聞かなくても分かる。
自然と頭の中に浮かんでしまうものがあったから。