先輩、好きです。
水を吸った布が肌をなぞり、ひやりとしていた指先から少しずつ水気が奪われていく。
「なにしてるの……」
「見りゃ分かんだろ。床よりお前の方が水浸しだから拭いてやってんの」
「別に頼んでない」
「頼まれてないな」
だったらやめればいいのに。
山岸は気にした様子もなく私の手を拭き続ける。
ごしごしと少し乱暴な手つきだ。
雑に面倒を見られているとも言える。
「自分でやるから」
居た堪れなくなって手を引こうとすると、山岸は構わずタオルを押し付けてきた。
「じっとしてろって。ほら、まだ濡れてる」
「子供扱いしないで」
「じゃあ子供みたいな失敗すんなよ」
即答だった。
思わず言葉に詰まる。
そう言われてしまえば、何も反論ができない。
その反応がおかしかったのか、山岸が吹き出した。
「わ、笑わないでよ!」
「いや……無理だろ」
肩を震わせながら言う山岸を睨みつける。