先輩、好きです。
無駄な言葉を一切使わないくせに、どうしてあんなひと言を残したのか。
冗談にしては性質が悪すぎるし、本気にしては説明がなさすぎる。
――――分からない。
「おい、めっちゃにらんでるけど、なんかしたっけ俺」
「……別に」
考えてるうちに山岸をにらんでいたらしい。
すっと視線を外し、コートの方に目を向ける。
見なきゃよかったのにーーーーなんて思う間もなく、矢吹の背中が目に入った。
どくん、と心臓が跳ねる。
部活なんだから、いるに決まってるけど。
なんで、すぐに見つけちゃうのかな。
矢吹は床に座って、入出と向かい合って話していた。
背中越しだとちゃんと会話になっているのか確認できないけど、入出が笑っているから多分できているんだろう。
ちょっと前までは誰とも話そうとしてなかったくせに、いつの間に仲良くなったんだか。