先輩、好きです。
無駄がなくて、迷いがない。
どこか機械的で、他の選手たちのような熱量も、派手さも感じられない。
それなのに、目が惹きつけられる。
目を奪われて、息をするのを忘れた、あのプレーを。
――――私に。
そう考えた瞬間、胸の奥がざわついた。
意識したくないのに、意識しろと言われているみたいだ。
ほんとに、なんなの。
私、なんでただの無愛想な後輩に、ここまで振り回されてるんだろ。
矢吹、あんたは…何を考えているの?
分からないまま心臓だけがうるさい。
気を紛らわせようと再びウォータージャグの蛇口をひねった。
だけど、力が入りすぎて勢いよく水が噴き出す。
「冷たっ!」
ボトルを持っていた手に、冷たい水がばしゃっとかかる。
思わず手を引っこめると、隣から呆れた声が飛んできた。