先輩、好きです。
「あーあー、何やってんだよ」
そう言って山岸は、肩にかけていたタオルを手に取って、濡れた私の手をそっと包み込んだ。
「ちょっと、自分でできるって……」
「濡れた手でジャグ触るなって。あと、その顔で『別に』は説得力ゼロな」
いつも通りの気の抜けた軽い口調で笑う山岸に対して、なんだか自分が情けなく感じた。
今日ははっきり言って散々だ。
タイマーを押し忘れ、練習メニューの指示出しも遅れ、声をかけるタイミングも微妙にずれる。
普段ならしないような凡ミスばかりで、後輩にも心配される始末。
――――何やってんのかな…。
三年にもなって、後輩一人に気を取られて仕事に支障を出すなんて、最悪だ。
矢吹はいつも通りなのに、私が部活に私情を持ち込んでどうする。
「…なに落ち込んでんだよ」