先輩、好きです。
「あーあー、何やってんだよ」
そう言って山岸は、肩にかけていたタオルを取って、濡れた私の手をそっと包んだ。
「…自分でできるってば」
「濡れた手でジャグ触るなって。あと、その顔で『別に』は説得力ゼロな」
笑い混じりの声。
それだけなのに、不思議と胸の奥の緊張が緩む。
タオル越しに山岸の体温がじんわりと伝わり、呼吸が整っていくのが分かった。
「……ありがと」
「はいはい。考え事はほどほどにな」
大きく骨ばった手の動きは少し雑なのに、優しさだけは確かに伝わってくる。
いつも通りの気の抜けた軽い口調で笑う山岸に、自然と肩の力が抜けた。