先輩、好きです。
こっそり目を向けると、開いた扉の向こうから制服姿の女子生徒が数名顔を覗かせていた。
バスケ部の練習がある日は特に珍しくもない光景だ。
いつもなら気にも留めない。
「やっぱかっこいいよね」
「話しかけてみる?」
「無理無理!何こいつって顔されちゃうよ」
「けど入出と話してるくらいだし、そのうち話せるようになるかもじゃん。クラス同じなんだし、チャンスだよ!」
思わず手が止まった。
誰のことを言っているのか、聞かなくても分かる。
これまでも練習中の矢吹を一目見ようとする子たちはいた。
あの顔で、あれだけバスケが上手いんだから当然だ。
当然なのに。
回収したボトルをまとめて持ち上げる手に、少しだけ力が入る。
女子たちの笑い声が妙に耳についた。