先輩、好きです。
「…はあ、ほんと何やってんのかな」
一人きりの準備室。
静まり返った空間に、ぽつりとこぼれた独り言がやけに大きく響いた。
三年にもなって、後輩一人に気を取られて仕事に支障を出すなんて、最悪だ。
「…先輩」
背後から声がして、心臓が強く跳ねた。
嫌な予感しかしないまま、ゆっくり振り返る。
「……な、なに?」
そこに立っていたのは矢吹だった。
いつも通りの無表情に、抑揚のない声。
――――なんで、ここに。
一人になれると思っていた準備室。
頭を整理するための場所に、一番来てほしくない相手が現れてしまった。
手のひらがじんわりと汗ばむのを感じる。