先輩、好きです。



告白なんて、されたことがない。


『付き合ってください』ならまだ答えようがあるけど、『好きです』って言われたら、なんて答えるのが正解なんだろう。



というか、あの矢吹に私と付き合いたいっていう気持ちはあるの?



何度思い返しても、記憶に浮かぶのはいつもの仏頂面と、圧倒的に足りてない言葉だけ。


分からない。
考えれば考えるほど、分からなくなっていく。




「先輩」




背後から低く静かな声がして、心臓が強く跳ねた。



この声を、何度も頭の中で聞いた。



胸の奥がざわつき、手のひらがじんわりと汗ばむ。

ゆっくりと振り返ると、そこにはいつもと変わらない表情の矢吹が立っていた。




――――なんで、ここに。
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