先輩、好きです。
「距離近いから、てっきり付き合ってるのかと思いました」
その言葉に、頭の中で何かがかちりとはまった。
それだ、と。
思い返してみれば、あの男は何かと距離が近かった。
話しかければ至近距離まで顔を近づけてくるし、さっきみたいに平気で私に触れてくる。
それは部活に限った話ではない。
教室でクラスメイトが模試対策の問題集を開いていたら、後ろから肩越しに覗き込むし、軽い相談事をされただけでも椅子を寄せて話を聞く。
相手が女子でも男子でも、同じ距離の近さで接してくる。
本人に下心なんて欠片もないのだろうけど、そのたびに相手が変な顔をしているのを何度も見たことがある。
だから、それが特別だと思ったことは一度もなかった。
だって山岸だから。
山岸の距離感バグに慣れて、そんなひと言で済ませていた結果がこれかと思うと、今更ながら頭を抱えたくなった。
「でも、山岸先輩ってかっこいいですよね」