先輩、好きです。




いや、気が『しかけた』だけだった。



ふと、さっきの矢吹の言葉が頭をよぎる。




『……はあ、どうも』




無表情で淡々と告げられた言葉。

三年生の先輩に褒められた一年生の態度とはとても考えられない。



無愛想で、コミュニケーションも最低限。




かわいいはずが、ない。




「…山岸、あんたアレをかわいいと思えるの尊敬するわ」


「ダメか……つーか、そこまで汐織も気にするか?お前、口うるさいけど後輩にはそんなだろ」




持っていたタオルを思いっきり山岸めがけて放り投げる。

山岸が「おっと」と苦笑しながら受け止めるのを横目に、私は胸の奥がまだざわついているのを感じていた。



なんで、ただの後輩相手にこんな苛立っているか?




そんなの、決まってる。




私は矢吹のプレーに魅了された。


ひとめぼれに近い感覚だったと思う。




だから勝手に期待して、勝手に裏切られた気分になって、勝手にショックを受けているだけ。
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