先輩、好きです。



山岸の言葉に、ふとおばあちゃんの家で飼っているミケを思い出した。



気まぐれでツンツンしてて、抱っこしようとすると全力で逃げるくせに、誰もいない日にはこっそり近くに寄ってくる。


素っ気ないけど、たまに見せる甘えがたまらなくかわいかった。



確かに矢吹の素っ気なさはミケと似ているかも。


そう考えると、さっきの態度も少しだけ許せるような気がして――――



――いや、気が『しかけた』だけだった。




ふと、さっきの矢吹の言葉が頭をよぎる。





『…はあ、どうも』





無表情で淡々と告げられたあの言葉。


三年生の先輩に褒められた一年生の態度とはとても考えられない。



あの猫っぽさも、猫という生き物だから許せるのであって、矢吹はただの人間。
無愛想で、コミュニケーションも最低限。




かわいいはずが、ない。
< 6 / 17 >

この作品をシェア

pagetop