先輩、好きです。
山岸の言葉に、ふとおばあちゃんの家で飼っているミケを思い出した。
気まぐれでツンツンしてて、抱っこしようとすると全力で逃げるくせに、誰もいない日にはこっそり近くに寄ってくる。
素っ気ないけど、たまに見せる甘えがたまらなくかわいかった。
確かに矢吹の素っ気なさはミケと似ているかも。
そう考えると、さっきの態度も少しだけ許せるような気がして――――
――いや、気が『しかけた』だけだった。
ふと、さっきの矢吹の言葉が頭をよぎる。
『…はあ、どうも』
無表情で淡々と告げられたあの言葉。
三年生の先輩に褒められた一年生の態度とはとても考えられない。
あの猫っぽさも、猫という生き物だから許せるのであって、矢吹はただの人間。
無愛想で、コミュニケーションも最低限。
かわいいはずが、ない。