先輩、好きです。
確かに矢吹のそっけなさはミケと似ているかも。
そう考えると、さっきの態度も少しだけ許せるような気がして――――
いや、気が『しかけた』だけだった。
ふと、さっきの矢吹の言葉が頭をよぎる。
『…はあ、どうも』
無表情で淡々と告げられた言葉。
三年生の先輩に褒められた一年生の態度とはとても考えられない。
あの猫っぽさも、猫という生き物だから許せるのであって、矢吹はただの人間。
無愛想で、コミュニケーションも最低限。
かわいいはずが、ない。
「…山岸、あんたアレをかわいいと思えるの尊敬するわ」
「ダメか……つーか、そこまで汐織も気にするか?お前、口うるさいけど後輩にはそんなだろ」
持っていたタオルを思いっきり山岸めがけて放り投げた。
口うるさいは余計だ。
山岸が「おっと」と苦笑しながら受け止めるのを横目に、私は胸の奥がまだざわついているのを感じていた。