先輩、好きです。
分かってる。
そんなつもりじゃないってことくらい。
それでも、こんなみじめな思いをしている自分自身を受け入れたくなかった。
なんか私、振られたみたいじゃん。
「まだ入部したばっかだし、一年と三年に距離があるのは仕方ないって。翔が異常なんだよ」
そう言って山岸は、いつの間にかたたんでいたタオルを私の手の上に置いた。
ちょうど休憩時間の終わりを告げるタイマーが鳴り、部員たちが再びコートに戻っていく。
戻っていく矢吹の背中を目で追っていると、入出が矢吹に声をかけていた。
いつもは無視するか、ひと言返事するだけなのに、今日は会話が続いているみたいだった。
入出の表情もぱっと明るくなり、喜んでいるのが分かりやすい。
なんだ、入出とは普通に話すじゃん。
矢吹は相変わらず読めない表情をしていたけど、ほんの少しだけ雰囲気が丸くなったような気がした。
別に、特別なことじゃない。
後輩同士が打ち解けてきたってだけのこと。
そうだけど、なんなの。
ほんっと、かわいくない。