Toxic・Romance
その言葉が、あんなに丁寧なメールになって届いたのだと思うと、さっきまでの感動が、じわじわと気恥ずかしさに変わっていく。
「(……本当に、気を付けてくれたんだ)」
温度のないひとだと思っていたのに、今はなぜか、
「(可愛いかも……?)」
にくめない存在に変化しているのも、歴戦の勇者たる彼の手のうちなのかもしれない。
果音から連絡が来たのは、その日の午後だった。
仕事中に、ついうっかり開いたメール。久しぶり、という書き出しだけで、胸の奥がきゅっと縮んで、指先が一瞬、止まった。まようほどの理由はないはずなのに、返事を打つまでにすこしだけ時間がかかった。
《そろそろ夕結と会いたいよ〜!ご飯行こ?合わせるから!》
やっぱり金曜かな!と、果音は無邪気に付け足した。
果音は私の、幼なじみの一人だ。昔は気兼ねなく会えた相手。今は何かと理由を作って避けていた相手。しかし、そろそろまっとうな理由も底を尽きかけていた。
「(会う、かあ……)」
最近の金曜日は片桐さんにささげている。この傾向に基づけば、今週も片桐さんの日になりそうなので《今週の金曜はむりです》と片桐さんには予め伝えた。すかさず《じゃあ土曜にするか》と言われて「ぅえっ!?」と、変な声がでた。
どちらを犠牲にしたのかわからなくなった。あるいは、救われたのか。