Toxic・Romance



 そんな金曜。ほんの少しだけゆううつな金曜。

 片桐さんから依頼されたプロジェクトを遂行する為に、午後、一人PRのオフィスに出向く。

「(なんか、緊張してきた……)」

 片桐さんにとってはいつもの景色。私にとっては真新しい景色。エレベーターから遠目で景色を追っていると、停まった階から男性社員が二人、乗り込んできた。

「あーあ、今日の飲み、馨は来ないよな」

「(馨……?)」

 ため息混じりの声に、耳がつられる。

「どうだろ。最近釣れないし、期待しない方がいいよ、」

「女かな」

「(ぜったい、片桐さんだ……!)」

 会話だけで謎の確信を持つと「仕事だろ」と、もう一人もまた、ためらいなく反応した。仕事なのかな?と、疑問を抱く。

「あいつ、馬鹿みたいな量一人でこなしてるじゃん、昔同期が、自分のせいで残業中に倒れたからって」

「(え……)」

 二人の会話を聞きながら、わたしはどうしようも無く立ちつくしてしまった。
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