Toxic・Romance
飲み会、と言われて居酒屋を予想していた。駅直結の複合ビルの高層階だった。コンクリート打ちっぱなしの壁に、間接照明がほの暗く照らすモダンなダイニング。テーブルは広く、椅子は深くて、座るだけで姿勢がよくなるような場所。
大きな窓の向こうに広がるのはネオンを溶かした夜の街。騒がしすぎず、静かすぎない。会話が自然に低くなる、ちょうどいい音量。
「(片桐さん、ここでも人気だなー……)」
まあ、理由も分かるんですけどね。性格や恋愛観は破綻していても、シゴデキ、顔よし、物腰もやわらか、そりゃあモテますよね〜。
お酒をちびちびと飲みながら、片桐さん周辺の女性たちをながめる。会議の時点で思ったけれど、ビジュアル担当ばかり集められましたか?と聞きたいくらい、美しい社員ばかりだ。
「(お礼が言えない……)」
口実がゆらぐ。ゆらいでしまう。
私の隣では、さっきの男性社員や他のメンバーが付近のひとと会話を続けているけれど、さらさらと右から左へ流れていく。
「そういえば片桐さん、月島さんのこと独占してるらしいじゃん?」
ふと、気になるワードを拾った。