Toxic・Romance
「片桐さんって、気に入ったらしつこいんだっけ」
「しつこくされたいわ〜……」
しつこい、あるいは独占の意味がわからず、きょとんと瞬きをした。おそらく私は当事者だ。普通のことだと思っていた。
「…………あのぅ、独占って?」
だから、伺うようにおそるおそる聞いてみると、その人が「あー」と、躊躇いがちに頷けば、その視線は片桐さんがいる方向を経由して私を見据えた。
「PRの同期に聞いたんだけどさ、月島さんに仕事振ろうとすると、片桐さんがいつも先にスケジュール押さえてるから、なかなか声かけられないらしいよ」
「……へ?」
これが普通じゃないの?ていうかむしろ、片桐さんがそう仕向けていたってこと?なんのために?私以外にも仕事が早くて、丁寧な社員はたくさんいるはずなのに、どうしてわざわざ……。
「(それが、独占ってこと?)」
心臓のやわい部分がきゅんと疼く。
だめなのに。やな人だって分かってるのに。
──『愛しのユキちゃん』
好きになっても、仕方のない人なのに。