Toxic・Romance

 不意に視線を投げた。片桐さんと目が合った。いつから見られていたのかもわからないまま、真意をたずねることも出来ないまま、視線を逸らすこともできなかった。

 話せないと落ち込むし、目が合うと切なくなるし、笑ってくれると安心するし、片桐さんが褒められているとうれしくなる。
 
「月島さんって可愛いよね」

 視線を逸らしたのは、別の人の声だった。「わかる。かわいい」と同調されて、うれしくなって「ありがとうございます!」とにこにこ顔を緩ませる。

「親戚の子どもみたいで。お菓子あげたくなっちゃう」

 しかし、どうやらかわいいの認識が違ったようで「えぇ、そっちですか……」と項垂れてみる。

「こっちにオレンジジュースあるよ、おいで、」

 けれど、ここで喜ぶのがこどもなのか。

「わあ、」とまるで食事を前にした犬のようにそちらに向かおうとすれば、突然うでをつかまれてしまい「……っ!?」前進しようとしたからだが後退する。振り返る。私を掴んでいたのは片桐さんだった。

「勝手に餌付けするの、禁止」

 まるでハートをくっつけたような甘い声で、満面の笑みの片桐さん。ご機嫌?いや、ともすれば超絶不機嫌な彼を見ているようだ。
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