Toxic・Romance
不服な私と、満足気な片桐さん。
片桐さんと関わるようになって、私の弱点が増えた気がする。なにもかもが、彼優位。
黙っていると彼に肯定と受け取られてしまうおそれがあるので、抗議の意味も込めて手の甲をこっそり抓った。だれにも見えない、私たちのからだで隠れた場所で。片桐さんはすぐさま「いって」と顔を歪めたけれど、パフォーマンスだったとおもう。
気に入らない。他の誰かだと看過すること。片桐さんだと、見過ごせないこと。
自分の飲みかけのグラスを持つと「どうしたんですか、片桐さん」と、他人事のように心配すれば、片桐さんは「べつに」と笑うと、ごく自然なモーションで私の手に触れた。
「えっ……!?」
私と片桐さんの間で、するりと繋がれた手。涙ぐましい練習の成果だったりする。しかし、喜ばしいことではない。
「……あれ、月島さんどうしたの?」
さっきの復讐か、それとも公開処刑かなにかでしょうさ。
「…………べつにっ!」
強がったけれど、当たり前に見透かされていて。私は力なく視線を外した。けれども繋がれた手は、離れることがなかった。