Toxic・Romance
 
 次のお店に行くらしい人の流れに「じゃあ、また月曜」と、片桐さんはてきとうな挨拶で別れると「こっち」と、私の腰に手を回し歩き始めた。

「わざわざ、こんなに近づく必要はあるんですか?」

「酔っぱらいが多いから、一応」

 ……一応、守ってくれているらしい。

 その後、初めて門をくぐった、インターネットカフェの受付。カラオケボックスに似ているけれど、どこからか本の匂いが漂ってきて、軽率に睡魔が吹き飛んだ。

「人生初です……!」

「月島さんは喜ばせ甲斐があるね」

「そうですか?」

 お手軽とか、簡単な女ってことだろうか。
 いい事なのかな、なんて考えていると受付受付機を操作していた片桐さんは「ここ、アプリが必要なタイプか」と、つぶやいた。早速二人でアプリをダウンロードし会員登録をした。私のスマホと片桐さんのスマホの中に今日の思い出として、四角がぽつんと残る。

「いつでも利用できるね」

「そうですね。あ、アプリで会員登録さえすれば、お部屋の予約はニックネームでもいけるんですね」

「アプリの中に会員情報は残ってるから問題ないんだろうね」

「ですね。このお部屋抑える時の名前、何にしましょう」

「本名でいいでしょ」

「合法であれば試したくなりません?片桐さんはKKですね。私はTYです」

「YTでしょ」

「あ、そうでした」

 うっかり間違えていると、片桐さんはなぜか“YK”でお部屋の予約をしてしまった。私のイニシャルでもなく、片桐さんのイニシャルでもない。しかもこれだと「かたぎりゆうゆ」になりませんか。
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