Toxic・Romance


「片桐さん、いま、何してるのかなー……」

 現在日曜の午後8時。片桐さんと別れたのは昨夜の午後8時。ようやく一日が経過した。

 片桐さんとふたりの時間、私ひとりの時間。それらは同じ時間とは思えないほど時間のスピードがちがう。

 昨日はとても幸せな、言い換えるととてもお腹が空く香りで目が覚めた。身体を起こして見渡せば当たり前に見知らぬ部屋で、ねむりまなこでここはどこかと考えて、そういえば片桐さんのお家だと気づいた時の驚愕はすさまじかったし、昨夜の大胆な発言を思い返すと恥ずかしさで消えたくなった。

 ベッドの上で正座崩れのような体勢のまま後悔という波に飲まれていると、「ん〜?起きた?」と、片桐さんのやわこい声が届いて、心臓がうさぎのように跳ねて、布団にくるまってみたりした。

「何してんの」

「や、あの、自分と戦ってます……」

「じゃあ、戦い終わったら顔洗ってきなよ、ごはん出来たから」

「っへ、」

「……夢?」

「現実だよ。こっちおいで」

 片桐さんに手を引かれてのっそりと起き上がった。片桐さんが作ってくれた朝ごはん……というよりお昼ごはんは、ふわふわのホットケーキだった。世界で一番美味しいホットケーキだった。
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