Toxic・Romance
「(ネクタイのこと、だよね……)」
きっとそう。絶対にそう。そうじゃなきゃおかしい。だって気に入らなければ、捨てて欲しいと言った。なのにこんなに早く身につけてくれるなんて、相当気に入ってくれたのだ。
片桐さんは、赤が好き。そう、自分の中で結論づけると共に、じんわりと、胸があたたかくなる。
人のために選んだプレゼントを、大事にしてくれる。簡単だけど、おそらく難しいこと。
「誕プレなんだよ」
ふわふわとした気持ちを抱えていると、片桐さんの声が疑問を招く。
「(誕プレ?)」
「えっ、誕生日だったの?」
周囲の女性たちと同じ疑問だ。
「うん。こないだの土曜」
「(え!?)」
「おめでとう〜!コーヒー奢るね。甘い系飲めたよね?」
「飲める」
そんな会話が右から左に流れている合間に、スマホを取りだしてメッセージを送った。
《聞いてないですよ!?》
疑問をそのまま送り付けたので、まちがえた……と、あわてて取り消そうとしたのに、片桐さんは既読をつけ《なにが?》と、返事をした。目線をスマホから片桐さんへと向ける。周囲の会話は続いている様子なのに、片桐さんだけがスマホを見ている。
《片桐さん、誕生日だったんですか?》
弁明よりも疑問を解消する方が私にとって先決だった。