Toxic・Romance


 既読がつく瞬間を見るために、むずかしい顔でスマホの画面を見つめる。

「また盗み聞き?」

 すると、リアルな声が真上から落っこちる。びっくりして「わ!」とおどろいた。口角をゆるく上げた片桐さんが「えっち」とやわこい声で窘めるので、恥ずかしくて頬に一瞬の熱が通う。

「そ……それより、誕生日だったんですか!?」

 しかし、私はえらいので流されずに当初の疑問を思い出すことができた。

「まあ、一応」

 歯切れの悪い答えだった。

「本当に!?」

「さあ、どっちだろ」

「片桐さん!」

 くすくすと笑う片桐さん。答える気がないのは明白だ。けれど、そうだ。あの時のご両親からの電話!てっきり女性を欺くための偽装だと勘違いしていたけれど、多分あれは、祝福を息子に伝える為の、ご両親からの愛情だったのだ。

「リベンジします……させてください」

「なんで」

「分かっていたらもう少し気の利いた一日を提供しました」

 だからこそ、後悔が残ってしまう。これは絶対に。
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