Toxic・Romance

 ぎゅっとスカートをつかむ。片桐さんはしばらく黙ったままだった。答える気はないのだろう。もしくはいつもの、些細ないじわるから発生したものだと落とし所を決めた。

「言うのも面白そうだと思ったけれど、言ったらあんたが変に緊張しそうだから、言わなかっただけ」

 ──そう思っていたのに、そんなことを言われてしまったら、困ってしまう。疑問がふくらむからだ。

「だから良いんだよ」

 一年に一日だけ。少なからず、自分にとって特別な一日。その日を一緒に過ごすひとが。

「(私で良かったのかな)」

 本来ならば交わることがなかったはずのわたしと片桐さん。せっかくきっかけが生まれたのだし、生まれたのなら片桐さんに少しでも、私と関わって良かったと思っていただきたい。

「でもリベンジはしたいです!今週の金曜どうですか!」

 勢いよく提案すると、片桐さんは「まあ、いいけど、」と何かを続けようとしたけれど「片桐、何してるの?」と、さきほど話していた同僚であろう女性が、片桐さんを見つけたので言葉をやめた。
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